43 / 100
第43話 欠席
夏の扉を叩くのは 43
ー 欠席 ー
全てを語り終えてがっくりとうな垂れた林教員。
大切な箇所だけ質問を重ね、後は沈黙したまま話を聞いていた田上校長が最後に語った。
「 そうですね、やはり藤間君の親御さんと話さないとならない。
菅山さん、ご本人に伝えたその後は?どうなってますか?」
「 先方から連絡はまだありません 」
「 藤間君は今日は登校してますか?」
丁度一時限目が終わった時間なので俺は藤間の担任に連絡をした。
「 え?無断欠席?連絡はない 」
4組の担任佐川教員から伝えられた話を反復しながら田上校長を見る。
「 菅山さん、佐川さんを呼んで親御さんに連絡してもらってください 」
田上校長の声の調子はとても厳しいものだった。
職員室に向かい生徒の連絡先の名簿を預かる。
先日の父親からかかってきて把握した電話番号のほかにも連絡先を知りたかった。
佐川教員と連絡先の確認をしていると近づいてきた三枝先生が俺に静かに耳打ちをしてきた。
「花沢祐樹も今日は連絡なしで1限目には来てません。まぁ彼は連絡なしで遅刻したり欠席したりはたまにあるんですが 」
俺はそれを聞いてハッとした。
「 高光は、高光は来てる?」
思わず口に出した言葉に三枝先生も眉をひそめる。
「 高光さん?さぁ、今朝は姿を見てないから、なんとも、私が確認して来ましょうか?」
「 お願いできますか?私は又校長室に戻るので 」
と高光の事を三枝先生にお願いして俺は校長室に戻った。
もし高光が現場に来ていなかったらと不安がよぎるが、ともかく今は藤間がどこにいるのかを把握しなくてはならない。
藤間の父親には連絡がつかない。勿論自宅は留守番電話にもならずに、三件目にかけた母親の職場でやっと連絡が欲しいと伝言を伝えることができた。
そして画面に流れた着信には、
『 高光さん、今日退職されたと言われました 』
と、三枝先生からのメッセージが入っていた。
ともだちにシェアしよう!