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第44話 胸騒ぎ
夏の扉を叩くのは 44
ー 胸騒ぎ ー
退職……どういう事だ!
退職という言葉が混乱した頭に入力される。
変換後はなぜ!という疑問しか浮かばない。
さっき別れたばかりじゃないか。
その時!事務所から田上校長に電話が繋がれた。
「 はい、私が校長の田上ですが。
はい、そうです。
花澤祐樹はうちの生徒です。
はい、藤間光、そうです。
生徒です
わかりました。直ぐに連絡を、手配して責任者を向かわせます 」
そこに同席していたものが一斉に校長の顔を凝視し彼から伝えられる言葉を待った。
「 菅山さん、すぐに三年の主任 三枝さんを同行して◯◯警察に向かってください。
佐川さんと花澤祐樹君のクラス担任で藤間光君と花澤君の親御さんになんの手段でも良いので即急に連絡を取ってください。
花澤祐樹君が傷害を負ったそうです。その場に藤間君もいたらしい。経緯はまだよくわかりませんが、とにかくお二人で警察に向かってください 」
俺はいやな動悸を拳を握りしめて抑えながら、周りに大げさにならないように三枝先生にこの事を伝えて俺の車まで来てくれるよう伝えてと佐川さんに告げた。
どうした?何があった?
傷害って、どの程度なのか。
藤間には怪我はなかったのだろうか。
頭を過る最悪の答えを予想しながら、そんな事は伝えられていないと悪い予想は頭を振ってかき消した。
そして、
高光、関わっていないでくれ
と、祈るような思いで独りごちた。
職員室にとって返すと、念のためスマフォを二台持って車に急ぐ。
三枝先生は職員室には居なかったので次の授業に向かったところかもしれない。佐川先生は恐らく代わりの空いている数学の教員を連れて担当教室に向かっているだろう。
職員用出入り口から外に出ると、早くきすぎた夏が執拗に熱波を吐いていた。
今日も暑くなるのか……
忍び寄る憂鬱な気持ちに喝を入れる。
「 菅山先生!」
と駆け寄ってきた三枝先生を助手席に座らせて俺はゆっくりとレンジローバーを発進した。
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