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第47話 傷害 2

夏の扉を叩くのは 47 ー 傷害 2 ー 再度剣崎に高光との関係を問われた。 「…… 知人だ 」 と簡単に告げると彼女はなるべく詳しい情報を頂戴と言って通話を切った。 再び警察署内に入り一階の暗いトイレ横のベンチに腰をかける。 名前住所、勤め先、は辞めたんだったか、あとは連絡先…… 生年月日はいつだ? 兎にも角にも分からない事だらけだ。 俺は仕事用のスマフォから安堂さんの会社の連絡先を引き出すと電話をかける。 安堂さんへの連絡、仕事中は確か転送になって携帯に送られるはずだった。 何度目かのコールの後、転送された電話は安堂さんに繋がった。 挨拶もそこそこに、拘留されそうなため弁護士をつけるから高光の情報をなるべく詳しく教えてくれと言うと、 安堂さんはしばらく電話口で沈黙した後、労災の関係で持ち歩いている社員のデータがあると言う。個人情報だとか面倒な事を言わずに知っている情報はメッセージにしてすぐに送ってくれると約束してくれた。 この人もこの人なりに高光が心配なんだろうな。 お願いしますと最後に呟いた安堂さんの浅黒い顔を思い出す。 いつもはイラっとくる人たらしな高光、今回ばかりは有難い。 すぐにメッセージが来たのでそれを確認し剣崎に転送する。 今から警察に向かうと剣崎より簡潔に来た返信。 それだけの作業を終えると、俺はまた二階の生徒達と三枝先生の待つ部屋へ戻った。 部屋の中に男の刑事二人と花澤祐樹は居らずに残った婦警が三枝先生と談笑していた。 三枝先生は座っている藤間の肩に手を乗せて恐らく藤間をリラックスさせるために普段の学校の事を婦警と話していたようだ。 「 あ、菅山先生お帰りなさい 」 自分の隣の椅子を引くとにっこりと俺に笑いかける。 癒される……本当に癒される。 尖った棒を飲み込んだ様な硬い胃袋の辺りが少しものの通りも良くなった気になる。 「 花澤君のお父さんが到着されたようなので刑事さんと花澤君はそちらへ行きました 」 しまった!花澤祐樹の父親の事を調べてくれば良かったか……準備の悪さ、そんな後悔が過った俺の顔を覗き込んだ三枝先生は、 「 花澤祐樹君のお父さんに私は何度かお会いしました 」 少し柳眉を寄せて困った顔をした三枝先生は暗に少し面倒な人だからと俺に伝えてくれてるんだな。 ここで唯一の味方。俺は三枝先生の手を握りしめたい衝動をぐっと我慢した。

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