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第51話 傷害 6 心の傷
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ー 傷害 6 心の傷 ー
三枝先生はコーラを別々の種類で3本買ってきた。
「 ◯ロと透明なのと後は△△ッシック。
驚きましたよ、透明なコーラって。
コーラってこの色がコーラだと思ってたから……
どれにします?藤間君は?」
藤間はやはり喉は乾いていたのか、透明のコーラに手を伸ばす。
「 お、藤間君それ?飲んだら味教えて 」
と軽く話しながら三枝先生は
「 菅山さんはやはり△△ッシックですか?」
と俺には茶化しを入れながら聞いてくる。少し気分が上がってきた俺は、
「 俺の学生時代は瓶が多くてさ、缶のコーラで350のは米軍の基地の中でよく買ってきてくれたおじさんがいて、あれは6本パックになっていて、豪快さがいかにもアメリカ!って感じで妙に刺激的だったな。
自販機も瓶用だからでかいのが多かったよ 」
と話題にのっかる。
「 へぇ、俺の時は流石に瓶の自販機は田舎に行かないとなかった気がする、観光地とか体育館とか 。
藤間君は知らないでしょ?瓶のコーラも、今はペットボトルだし 」
「 知ってます……
林先生の家で出されたことあるから 」
藤間の思いもしなかった発言に
ペットボトルに口をあてていた俺はかろうじて噴き出しそうになったコーラを飲み込んで止めた。
ここで言うか!その話題を。
「 林先生はコーラ好きなの?」
何気なく話をふる三枝先生はニコニコしている。事件の事はじゅうぶんに知ってるのになんて肝が座ってるんだ。
こういう時はどうして行ったのか?、とか、いつ?とかは追求しては行けないだろうと思案しながら黙ってる俺を尻目に三枝先生は藤間にどんどん話かける。
「 瓶のコーラって栓抜きで開けるから、うまく開けられた?
藤間君だとまだビールなんか縁がないから栓抜き珍しくない?」
「 俺、花澤さんの店でやったことあるからビールの栓は開けられるよ 」
「 林先生はよく花澤君のお父さんのお店に通ってたの?」
「 多分、長い休みの時?
夏休みとか冬休みとか、よく来てたみたい 」
「 藤間君はそのお店で林先生と話したことはあるの?」
「 うん、高校に上がる前に何度か。花澤君と一緒にご飯ご馳走になったりした 」
「 花澤君も一緒に?」
「 だって、あーゆーお店に出入りしてたの黙ってて欲しいからじゃない? 」
俺はこの話の応酬に頭を抱え裸足で逃げ出したくなった。
それにしても三枝先生の巧みさには本当に感服するよ。あんな貝のように口を閉ざした子どもにこんなに喋らせることができるなんて……
「 高校生になってからも林先生と親しくしてたの?」
「 うん、林先生の趣味は知ってたから 」
「 趣味?」
「 そう、カメラ。生徒のことを撮るんだよ 」
「 へぇ、本人に頼まれて?」
「 わからない、俺以外は……でも
林先生上手いって評判なんだよ。頼んでたの読モに応募したい人とか?先生、女子には無害だから……」
「 俺以外って?藤間君は?違うの?」
暫く俯いてから藤間は応えた。
「俺は、裸を撮ってくれって、それ以外もエッチなことしてるとこ撮ってって……」
「 林、林先生はその頼み聞いてくれたんだ 」
「 仕方ないよね、花澤君と俺、林先生の秘密知ってたから。
断れないよね 」
その先のことを更に聞こうとした時、廊下に何人かの足音が聞こえ扉が開くノックされた。
そして、入って来たのは刑事とあの藤間氏ともう一人の背後にほっそりとした女性がいるのが見えた。
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