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第52話 傷害 7 心の傷

52 ー 傷害 7 心の傷 ー 入ってきた人たちを見るなり、 音にならない声を上げて、また俯いてしまった藤間。 藤間さんは近づくなり俯く息子の肩を抱いて何かを話しかける。 抱かれた藤間の肩が酷く震えているのが見えた。 「 先生方、藤間君の保護者と詳しい話をしたいのですが外で待っていてもらえますか?」 年嵩の刑事にそう言われ三枝先生と廊下に出た。 少し離れたところにベンチがありそこに座る。 コーラを置いてきてしまったことに気がつくと三枝先生は俺取ってくるかなと言うので驚いて顔をまじまじ見てしまった。 「 でも、なんかおかしくなかったですか?」 「 何が?」 「藤間君のお父さんと光君の距離が 」 「 そう言えば、母には動揺する仕草は見えなかったけど、藤間さんはえらい慌ててたって感じだったな 」 「 慌ててるって言うか、心配でたまらなかったっていうか……」 「 学校で会った時とのギャップはあるな、確かに 」 「 やっぱり俺、取ってきます 」 「 三枝先生、意外と積極的で強気なんだな 」 「 おれ、意外と短気ですよ 」 と、ニコッとしながらさっさと部屋の前に歩いて行った。 気の強い美人か…… あれが他人のものかと思うと、、、深い溜息をつく。 長い廊下の先、奥の部屋の扉が開く。 その音に引かれふっと目をやると、 背広の姿と制服警官に挟まれた、 よく知ってる薄紫色の作業着の姿、少し尖った顎をした小さめの顔。 「 高光! 」 と立ち上がる俺。 そして少し離れたところに立つのは、 手首のところをタオルで覆われた高光の姿だった。 肩を押されてこちらへ歩いてくる、廊下に立つ俺を見て目を見開きそして、深く俯く。 高光たちと俺の間にあるエレベーターまで歩いてくると、ボタンに手をかける警官。 俺が焦って駆け寄ろうとすると、横にいた警官に止められる。 肩を掴まれ、その手を外そうとしてる間に着いたエレベーターに乗り込む高光たち。 この先会えなくなるんじゃないかと焦る俺の身体を抑え込む二人の警官。 警官に掴まれた肩から思いっきり伸ばした腕の前でエレベーターの扉が閉まる。 その瞬間俺を見た高光の眼が微かに哀しい弧を描いたのか見えた。 「 高光! 」 叫んだ言葉が廊下に響いた。

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