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第56話 傷害 11 心の傷
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ー 傷害 11 心の傷 ー
「 先生、父親の遺伝子ってどんな風に繋がってるんだろう?
顔はお母さんにそっくりだって良く言われるんだ。
僕の中に高光はどこにいるんだろう……」
不安そうに言うその横顔は確かに高光よりは母親に良く似てるなと、先程初めて会った俺にもわかるほどだった。
藤間さんが、
「 アイスコーヒーくらいしかありませんが 」
と氷の入ったグラスを居間のテーブルの上に置く。
それを見た光は、
「 あ、 」
と言って奥のキッチンに入っていった。
座ってくださいと促されソファに座ると光がクリームとガムシロップのポーション、マドラーを持ってきた。
素の光はどこにいるんだろうか、この良く気がつく子がそうなのか?
「 そうか、ミルクと砂糖がいったな、光、ありがとう 」
と言う藤間さんの言葉がとてもぎこちない気がした。
「 それで、話してくれるか。なんで林先生にあんな事を頼んだかって事を 」
俺の光への問いかけに藤間さんの硬い声が割って入る。
「 菅山さんいいですか?今回の傷害事件で光が刑事さんに説明したのは、
林先生が花澤君の父親の店に出入りしてた事を喋らないでくれと二人が林先生に口止めされていた。それで林先生が小遣いを二人にくれるようになり、高光さんがそれを知ってそんなお金を貰っちゃダメだと花澤君と口論になってその後揉み合いになったということです。
それ以上のことは警察でも問題にされていない。私は、」
「 藤間さん、問題はそんなことじゃない。
花澤君の父親の店に林先生が出入りしていたそれは花澤君は知る機会があったのはわかるがなぜ光君までその事を知ってるんですか?」
「 先生!やめて……
やめてよ 』
顔を紅潮させて遮る光の声。
そして少し離れて座った藤間さんも苦痛な表情を浮かべている。
遮った光の必死さに疑問を浮かべるかと思ったが、
もしかしたら知っていた?
藤間光が同性に嗜好が向いている事を知っていたのか?
「 光君、苦しいんだろう。その理由を話してくれないか、なんで林先生にあんな事を頼んだんだ?」
ここで引くわけにはいかない。
その先を聞くまでここは引けないと身を乗り出した俺に更に光は声を荒げた。
「 どうしようもないじゃない、お父さんなんだから、お父さんって言わなくちゃならないんだよ 」
藤間さんが光と呟く。
「 おれ、最初は高光の遺伝子がそうなんだと思ってたんだ。だからだって、こんな気持ちになるのは、おかしいのは、高光の遺伝子のせいなんだって
でも、花澤君はそんなのべつにおかしくもなんともないって、
同性しか好きになれないのはいっぱいいるし、たまたまそれが、母親と再婚する人だっただけだって。
だから確かかめてみろって言われたんだ。
俺のエッチな、あの裸の画像を見て受け入れてくれるかもしれないからって 」
藤間さんが驚愕の表情を浮かべた。
「 それで、林先生に頼んだのか?」
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