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第63話 示談
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ー 示談 ー
次の日朝早くから校長を学校で捕まえる。
相変わらず外でのんびりと庭仕事をする姿に安堵しながら、
校長がどこかに手を回したのか、
テレビのクルーの姿は見えなかった事に気がついた。
これでうまく消えてくれると良いんだがな……
藤間光は三枝先生と共に登校してきたが、花澤の方は欠席だった。
昨日の一部始終を田上校長に報告し、午前中のカリキュラムをこなすとコマのない教員に後の授業を任せて警察署に向かった。
正面玄関から警察署内に入るとエレベーターの前で剣崎が榛の木刑事と話をしているところだった。
榛の木刑事は俺の顔を見るなり
「 それでは 」
と言い置いて来たエレベーターに乗ってしまった。
「 君が苦手なんだな 」
笑いながら言う剣崎にまだ時間がかかるのか?と聞くと、
「 まぁ解放のコールがかかるのにはまだ後二時間くらいかな 」
「 そうか……」
「 どうする?話したいことがあるんだけど外に出るか?」
「 あぁ、そうだな 」
警察署を出て少し駅の方へ歩き手頃な喫茶店があったのでそこに入る。
コーヒーを注文した後、
無駄な間の嫌いな剣崎が直ぐに話し始める。
示談の話し合いのために花澤祐樹宅を訪れると他の事件で取り込み中の花澤の側からは色々事実が明るみになった。
花澤祐樹は高光が身体を売っていたのも光の母親が以前夜の仕事をしていて平田の世話になっていたのも父親から聞いて知っていた。
そして、そのことで誰にも言わないと約束するからと光から遊ぶための金をせびっていた。
ところが光が自分の性癖に悩み、母親が再婚した相手、義理の父を好きなことが分かると光けしかけて林に淫猥な動画を撮らせた。
林のカメラ内の動画データを職員室から盗んだのは花澤祐樹。
それをあのアダルトサイトに流してそれを林に擦りつけた。これはより一層林を脅してお金を取るための布石。それを知らなかった光はサイトを花澤に見せられ花澤の言う事を信じ、約束を裏切った林に脅しをかける。
「 つまり花澤祐樹は藤間光を手先に使った。
結局林の報復のために藤間光はテレビ局にまでをタレコミをすることになった」
大体の経緯を知って花澤を疑った高光が林を脅して金をせびることに光を巻き込むなと花澤に諭すと、それが傷害事件に発展した。
「 林から脅し取ってたなんてよく花澤が喋ったな 」
「 そりゃ、聞き出さないと示談書が書けないからな。
まぁ、勝手にお金をくれたって事になってたけど。
示談の金額を決めるのに知らないじゃ相手のいいなりになるだろ?」
「 脅したのか?」
「 聞き捨てならないね、わかったことをぶつけてみただけさ。オフレコにするって言ったら相手は子どもだからね、あっけなく喋ったよ。
とにかくデータはその専門の弁護士に消去を頼むことにして、
花澤祐樹には今後一切光に関わらないと念書を書かせるから 」
「 そうか、それで、弁護士費用と示談金は俺が払うから 」
「 まぁ、高光さんもその事は気にしてて何度もいくらかかるのか?て聞かれはしたけどね 」
「 答えたのか?」
「 示談金の目安、大体の落とし所は伝えたよ。
君が私を呼んだんだから高光さんに弁護士費用の事は伝えてないけどね 」
「 いくらにする気だ?」
「 被害者は軽症だし、先に手を出したのは被害者だと言うコンビニ店員の証言もあるから、、
15万って線かな
花澤さんの父親は渋い顔してたけどそれどころじゃないらしいし 」
「 そうか、高光には多分まったく金は工面できないと思う。俺が全部払うから 」
「 友だちの君が?」
「 そうだ……」
「 高光さんが納得すればいいけどねぇ 」
高光が納得するもしないも、
その時の俺はあいつをただ助けたいだけだった。
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