6 / 10
【2】-2 ※R18
下肢を包んだ指の複雑な動きに、苦しいほどの快感がせり上がる。自分のものとは明らかに違う骨格の大きい手に晴は翻弄された。
「あああ……っ」
その大きな手の中で晴はとうとう限界を迎える。
「あ……、いやっ!」
弾けるように迸った漿水が男の手を濡らした。
顔から火が出るほどの羞恥に、茶色い瞳いっぱいに涙の膜が広がる。ぼやけた視界に美しい顔が滲んで揺れていた。
人形のように力をなくした身体が、ぱたりとベッドに崩れ落ちる。
うう、と一度くぐもった声で呻いた。
「……あっけないな」
揶揄されても、もう何も考えられなかった。そのまま長い睫毛を閉じると、張りつめた水の膜が大粒の涙になって頬を流れる。
長い指先でそれをぬぐった男は、ため息のように呟いた。
「どうして泣くんだ……? そんな顔で泣くと、離したくなくなる……」
いつもそんなふうに泣くのかと、どこか苦い問いが落とされ、意味がわからないまま、晴は力のない首を小さく振った。
「まあ、いい……」
ため息を吐いた男は、ふいに強く晴を抱き締めた。混乱と羞恥に涙ぐむ晴に、宥めるような口づけを落とす。優しく、何度も。
このとき晴は、どこかでこの男を信じてしまった。
そして、ただ目の前のものに縋るように手を伸ばした。
男の目がわずかに見開かれ、慈しむような光が瞳に宿る。口腔を舐め尽くすような口づけに強い情欲が滲み、そのどちらもが、同じ優しさから生まれたもののように思えて、深く激しいキスを晴はもう怖いと思わなかった。
どこか大切に、気遣うように触れてくる男の腕の中で、じっと大人しく身を任せ従うことが、嫌ではなくなっていた。
けれど……。
精漿をまとった指が後ろの小さな窄まりに触れ、そこを押して入り込もうとすると、晴は驚いて飛び上がった。
「やっ……! な、な、何……?」
「何って、そっちこそ急になんだ? ここまできて」
呆れている男になおも抵抗して首を振ると、いいから大人しくしていろと、後ろ手にネクタイで腕を縛られてしまった。
「な、何す……っ! あ……っ」
うつぶせにされぐいっと尻を持ち上げられる。
あまりに恥ずかしい体勢に、ずり上がるようにもがいて逃げる晴の腰を引き、男はことさら楽しそうに笑った。
「これではまるで、レイプだな」
ともだちにシェアしよう!