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第183話

 灯里のなかでは松岡はあの頃のがむしゃらなセックスをするイメージのままなのに、目の前の男はちゃんと経験を積んだ大人のセックスをするのになんだか戸惑う。  当たり前だ、あの時松岡は灯里が何もかも初めての相手で、まだすべてに不慣れだったのだ。  最後に抱き合ってから4年も経っている。他につき合った人がいたと言っていたのだし、それなりの経験をしているはずだ。  それが悔しいような気がするのは嫉妬だろうか? 「ここ、すごくやらかいな。奥が気持ちいい?」 「ん、いい。あ、あっ。…そこ、いいよ」  体の奥にある快楽の源を探りだされ、何度もやさしく押し上げられてとろとろと体の輪郭が無くなっていく。乳首を吸い上げられて舌でこねられると思わず腰が揺れた。 「中、熱くてうねってる。俺の指に懐いてくるのわかる?」  もうそんなのでは物足りなくて、灯里は潤んだ目で松岡を見あげた。 「も、来いよ。これ欲しい」  松岡の昂りを扱いて誘うと、ちくしょ、と小さな声が聞こえて指が抜かれた。  腰の下に枕が差しこまれて、膝を抱えあげられる。ぬるりとローションをまとわせた先端があてられ、ぐぐっと圧力がかかって押し込まれる感覚に背筋がぞくぞくした。  最初の張り出した部分が入って、浅いところを短いストロークで慣らされた。 「ああ、あっ、まつお、か、ああっ」 「名前、呼んでよ」 「かずさっ、あ、はぁ…、あ、かずさ…」  すこしずつ奥まで入りこまれて、満たされていく感覚にうっとりする。  最後はぐっと押し切られるように突き上げられた。 「中、熱い…、すげーイイ」  はあと満足げな息を漏らして、いったん動きを止めた松岡が目を細めて灯里を見下ろす。 「おれも、いいよ」  松岡と抱き合っているのがうれしくて笑いかけると、自分を組み敷いている男がなぜか泣きそうに顔を歪めた。 「どうした?」 「なんかちょっと…、胸いっぱいで。灯里さんを抱いてると思ったら……」 「…ごめん。おれのせいだな」  灯里がそっけない態度を取り続けたせいかと頭を撫でてやる。  松岡はほんのちょっと黙り込んだが、すぐににやっと笑って言った。 「こないだの貸しもまだ返してもらってないし、きょうは覚悟してくださいね」  ここでそれを言うか。  灯里はあっけに取られた。  もちろん覚えている、大友が来た時の話だ。まあ、助けてもらったのは確かだし文句を言う気はない。
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