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第5話

驚いて顔を上げる。 と、直ぐそこに昴生の顔があった。 「…ねぇ玲央、……俺と気持ちいい事しようよ」 昴生の指が、スッと僕の顎にかかる。 「……こ、うせ…」 「寂しいんでしょ?……彼氏に相手して貰えなくて」 その言葉に、僕の全身がゾクリ、と粟立つ。 「……かれ、し……?」 「うん、彼氏」 昴生の親指が、僕の下唇をゆっくりとなぞる。 ……どうして……知って…… 「……知ってるよ。 玲央は写真家の男と付き合ってる、んだよね?」 視線が定まらず彷徨う僕に、僅かに隙間の空いた昴生の唇が迫る。 「……ゃ、」 それから逃れようと顔を背けると、昴生の両手が伸び…… 両肩を掴まれ、地面に押し倒される。 ……いたっ…… 石畳に背中を打ち付けられ 瞬間、ぎゅっと目を瞑る。 容赦のない昴生に、両手首を強く掴まれ、軽々と地面に縫い付けられる。 と、同時に、開けた浴衣の合わせ目から剥き出された両膝の間に、昴生の右膝が強引に捩じ込まれた。 「……玲央が悪いんだよ」 昴生の言葉に、瞼を押し上げる。 夜空に浮かぶ、プラチナの様な満月の隣で 鈍く光る昴生の瞳が、僕を見下ろしていた。 「彼氏の代わりに俺を呼んだのなら、……いいよね、しても……」 ……え…… 昴生の左手が外れ、僕の顔に少し掛かった髪をそっと搔き上げる。 そして三日月程に薄く瞼を閉じ、先程の唇がゆっくりと迫り 僕の口を、塞いだ。 「……ゃ、んっ…!」 自由になった右手で昴生の肩を押し返すも、ぴくりとも動かない。 強引に侵入してきた昴生の舌が 奥に潜む僕の舌を見つけると 絡みつき強く吸い上げる。 「……ん、」 生暖かい舌が、柔らかな頬の内側をくちゅり、と弄る。 歯列の裏や上顎を愛撫する度に流れ込む、昴生の生温かい淫液…… 「……は、ぁ……ん…っ!」 口端からその溢れた液が漏れ、つぅ、と首筋に向かって滴り落ちる。 ……ど、うして 何、で…… 突然の事で頭が上手く回らない。 ドクドクと心臓が早鐘を打ち 肌をじわりと上気させる。 掴まれた左手首は、湿気を帯びて……熱い…… 足をばたつかせると 履いていた下駄が足から外れ するりと下袴が滑り落ち、太腿が月の光に曝される。

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