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行ってみたいところ

美月(みつき)side】 駿河(するが)さんも、時任(ときとう)さんも、片桐(かたぎり)さんも、カンナさんも、みんなどおして、ぼくにほしいもの聞くんだろ。 ぼく、ほしいもの、もおいっぱい持ってるよ。 「なあ美月」 「なあに?」 「どこか行きたい所とか、見たい物とか、やって欲しい事、あるか?」 リビングのソファに座って、赤い車であそんでたら、麗彪(よしとら)さんが、みんなとちがうこと聞いてきた。 行きたいところ、見たいもの、やってほしいこと・・・。 「・・・ぁ、な、なんでも、いい・・・?」 「ああ」 「・・・・・・・・・だ、だっこ、して、くださ・・・」 はずかしいけど、今、いちばんしてほしいこと。 麗彪さんにだっこしてもらって、ぎゅってしてもらうの、いちばん好きだから。 麗彪さんは、ぼくをひょいってもち上げて、だっこしてくれた。 「他には?」 「・・・ぇと、ぎゅって、して」 ぎゅーってしてもらって、キスもしてくれた。 うれしい・・・っ。 「他は?」 「ふぇ?・・・ぇと、え・・・と・・・」 ぼく、このままで、いい。 ほかは、ないよ。 「このままで、いぃ・・・」 「美月はほんとに無欲だな」 むよく? 今はじしょがないから、しらべられない。 ・・・あとでいっか。 「麗彪さん、だいすき」 「俺も美月が大好きだ。だから、美月が喜ぶ事をしたい。美月のためなら何でもする」 ぼくのためなら、なんでも・・・。 やさしくて、かっこよくて、大好きな麗彪さんが、ぼくのためならなんでもするって・・・。 体のまん中が、きゅーってする。 麗彪さんが大好きって気持ちがいっぱいになって、くるしい。 「・・・っ、ょし、とらさ・・・がぶって、してぇ・・・っ」 さっきの、ちゅってするのじゃなくて、前みたいに、ぎゅってしながら、がぶってしてほしい。 だから、麗彪さんの首にだきついて、ぼくから麗彪さんにキスした。 「みつき・・・っ」 「・・・んぅぅっ・・・ん、ふ・・・んぁ・・・っ」 お腹がぞくぞくってして、ふわふわして、きゅうーってなる。 どおしたらいいか、わからないけど、でも、やめてほしくない。 もっとしてほしいって、思う。 「ょし・・・とぁさ・・・もっとぉ・・・」 「あんま煽んな、優しくできなくなる・・・っ」 麗彪さんなら、やさしくなくても、きっとやさしい。 だから、ぼく、だいじょおぶだよ? それから、リビングにきた駿河さんにおこられるまで、ぎゅってしながらずっとキスしてた。 「ぁの、ね、麗彪さん」 「ん?」 「行って、見てみたいの、ある」 本で読んで、テレビで見た、行ってみたいところ。 「海」 どれくらい、大きいのかな。 しょっぱいって、本当かな。 貝がら、おちてるかな。 麗彪さんは、わかったって言って、駿河さんと時任さんにも、なにかはなしてた。 海、つれてってもらえるのかな。 うれしい・・・けど、ちょっと、こわい。 だって、海ってとおいと思うから。 麗彪さんとはなれちゃって、まいごになったらどおしよう・・・。 ・・・ずっと、手をつないでてって言ったら、だめ、かな・・・。

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