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ぼくにください

美月(みつき)side】 海って、ほんとに大きいんだ。 ずっと、ずーっとむこおまで、ぜんぶ海。 波はにげちゃっても、ちゃんともどってくるし、つかまったら・・・ずーっとむこおの、おきまでつれてかれちゃうんだって・・・。 こわい・・・。 けど、麗彪(よしとら)さんといっしょだから、楽しかった! 「ほら美月、苺のケーキ食うだろ?」 「ああダメですよ、ケーキは食後です」 「うるせぇ片桐(かたぎり)、俺は好きな物から食う主義だ」 「美月くんはちゃんとご飯から食べる良い子ですから、麗彪さんとは違いますね~」 「これ、おいしいですっ」 「あら、あたしもローストビーフ好きぃ~!美月ちゃん気が合うわねぇ~」 「今度うちでも作ってやる」 「時任(ときとう)さん、これもつくれるの?ぼく、お手つだいするっ!」 海であそんだあと、片桐さんとカンナさんも来て、6人でお昼ご飯を食べた。 大きなテーブルに、おいしそおなごはんがたくさん。 おっきなケーキもある。 麗彪さんは、好きなのから食べるんだって。 ぼく、食べるのにじゅんばんあるの、知らなかった・・・。 ごはんから食べるんだ。 ケーキは、あとで・・・。 でも、ケーキの前にごはんでおなかいっぱいになっちゃったら、ケーキ食べたいのに食べられなくなっちゃう。 ・・・あ、だから麗彪さんは、好きなのから食べるんだ! ぼくも、好きなのから、ちょっとだけ、さきに食べても、いいかな・・・。 「ぁ、ぃ、いちごだけ、ちょっとだけ、食べてもいい、ですか・・・?」 「美月くんが食べたい物から食べていいんですよ」 「おい、さっきと言ってる事違うぞ片桐」 「あれは美月くんにではなく、麗彪さんに言ったんです。美月くんはいいんです」 「珍しく無茶苦茶な事言ってんな・・・」 麗彪さんが、いちごがのってるとこのケーキをフォークでとってくれた。 おっきいいちごと、いっぱいクリーム。 ひとくち・・・だと入らないかも・・・でもひとくちで食べたい・・・っ! 「ぁむっ」 「美月、クリーム付いてる」 「麗彪さん!舐めないでください美月くんが減ります!」 「絶対わざとクリーム多めにして食べさせたんだわ。ほんと変態。去勢するわよ?」 「きょせいって、なんですか?」 「去勢ってゆうのはねぇ・・・」 「駿河(するが)、余計な事教えんじゃねぇ」 きょせい、は教えてもらえなかった。 でも、帰ったらじしょでしらべても、いいのかな・・・? どおして、よけいなこと、なんだろ。 それも、しらべたらわかるかな。 みんなで食べるごはんはおいしくて、いつもよりもっと楽しくて、クリスマスってすごいって思った。 今日はクリスマスの前の日だから、クリスマスイブなんだって。 だから、明日がクリスマス。 サンタさんが、いい子にプレゼントをくれる日。 はじめて、サンタさんにプレゼント、もらえるかもしれない。 麗彪さんが、サンタさんに手紙を書いたら、サンタさんがプレゼントえらびやすいって言ったから、いっこだけ書いたんだ。 サンタさん、ぼくに、ください。 どおしても、ほしいんです。 ほかには、なんにもいらないから。 だから・・・。 麗彪さんを、ぼくにください。

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