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何でも言う事聞いてやる
【麗彪 side】
美月 に書かせたサンタ宛の手紙。
昨夜 寝てる間にこっそり確認して悶絶した。
なんだよ・・・麗彪さんをぼくにくださいって・・・。
とっくにお前のもんだろうが・・・!
どうすりゃいい・・・リボンでも巻くか・・・いや、箱に入って開けさせるとか・・・。
「・・・ねぇな」
センスのない登場シーンを想像し、自分の発想にがっかりする。
散々考えた結果、美月の希望した海に行って、レストラン貸切りでクリスマスランチして、その後は二人きりで過ごす、というもの。
マンションでも駿河 か時任 が常に居やがるから、寝る時以外二人きりになった事がなかった。
たっぷり甘やかして、じっくり可愛がってやるつもりだ。
・・・もちろん、美月が嫌がる様な事はしない。
「美月、明日の夕方まで俺と二人きりなんだが、どうする?」
「ふぇ?・・・みんな、どこかいっちゃう、の?」
マンションに帰って来た所で、美月にこれから二人きりになると伝えた。
万が一美月が不安がる様なら、車に乗ったまま降りずに待つ駿河時任も連れて帰らなきゃならない。
まあ、あいつらは俺たちが二人きりになる事に賛成しなかったんだが。
俺が美月をどうにかすると思っているらしい。
しねえよ、美月が承諾しない限り手は出さない・・・つもりだ。
「麗彪さんと・・・ふたりきり・・・っ」
俺のコートの裾を控え目に掴み、はにかみながら上目使いに微笑む美月。
・・・ここで喰っちまうぞ。
抱き上げてキスし、車に向かってしっしっと合図すると、黒いベンツは悔しそうにエンジンを噴かしながら去っていった。
「ね、ね、明日の夕方まで、ふたりきり?ぼくと麗彪さんだけ?」
「ああ、そうだ。何でも言う事聞いてやる。俺は美月のものだからな」
「・・・っ!」
美月の頬が朱く染まり、大きな瞳が涙の膜でうるうるしている。
・・・これは、喜んでる、んだよな?
恐がってる訳じゃねぇよな?
「な・・・っ、んでも、ゆうこと・・・きいてくれる、の?」
「ああ」
「ぁ・・・ぅ、ぁの、あのね、ぇっと・・・っ」
美月が悩んでる間にエレベーターが最上階に着く。
玄関で靴を脱ぎ、抱いたまま美月の靴も脱がせる。
「だ・・・だっこ、したままに、して・・・?」
「わかった」
仰せの通りに。
美月を抱いたままリビングのソファに座り、マフラーと手袋とコートを脱がせる。
そのまま向かい合わせで膝上に座らせておき、自分もコートを脱ぎ捨てた。
「コート、ぽいってしたらおこられちゃうよ?」
「怒る奴がいないから大丈夫。で、次は何して欲しい?」
俺の問い掛けに一瞬きょとんとしてから、考え始める美月。
して欲しい事が多くて迷っているのか、他に思いつく望みがなくて困っているのか・・・。
「・・・ぇと、え・・・っ、き・・・あ・・・っ」
「落ち着け、変な呪文みたいになってるぞ」
今のはどうやら、言いたい言葉に迷ってそれぞれの頭文字だけ発音したようだ。
え、き・・・?
「あっ、あたまっ!あたまからっ!あたま、なでてっ!」
よしよし。
そうだ、美月は優しく撫でられるのも好きだが、わしゃわしゃ撫でられるのも好きだったな。
わしゃわしゃわしゃ。
「ぇへへっ」
嬉しそうだ。
ああクソ、まじで可愛いな。
頭だけじゃなくもっと全身くまなく撫で回すどころか舐め回したい欲望を精神力で押さえつけ、くしゃくしゃになった美月の髪を手ぐしで整えてやる。
「・・・ん」
とろん、と気持ちよさそうな顔をする美月。
・・・耐えろ俺の精神力。
「次は?」
「んー・・・、きす、してぇ」
喜んで。
先ずは髪に、次は額、瞼、鼻、そして唇。
ちゅ、ちゅ、と小さな音をたてて美月の柔らかい唇を啄むと、俺の胸に縋り付く子猫は甘えるように舌を出す。
「・・・んっ、・・・んぁ・・・ん・・・っ」
邪魔をしてくる駿河がいない分、いつもより長く執拗く美月を味わう。
何で美月はこんなに甘くて美味いんだ・・・。
「ん、次は?」
「・・・ふぁっ、・・・はぁ、は・・・つぎぃ・・・?」
とろっとろに蕩けた美月が億劫そうに聞いてくる。
次がないならこのまま続けようか、と思っていたら予想外過ぎる言葉を聞いた。
「・・・えっち、したぃ・・・」
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