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ことばのいみ
【美月 side】
ここあをのみおわって、ときとうさんが、おかわり、をくれた。
すごい、こんなにあまくておいしいここあ、もっとのんでいいなんて!
よしとらさんが、ぜんぶぼくのだって言ってた。
ぼく、ぜんぶなんて、もらったことない。
はじめての、ぜんぶ。
「んく・・・ん・・・ふぁー・・・」
あったかくて、おいしい。
ぜんぶ、うれしい。
でも・・・。
「・・・ぁの・・・よしとらさん・・・」
「なんだ?」
どおしよう、こんなこと言ったら、よしとらさんがいやなきぶんになるかな・・・。
よしとらさんは、おこらないし、ぶたないけど、こんなこと言ったらこまらせちゃう、かな・・・。
「・・・ぇと・・・ごめんなさい」
「美月は何も悪い事してない」
「で、でも・・・ここあ・・・ごめんなさぃ・・・」
よしとらさん、ぼくのことじっと見て、なんにも言わない。
かおは、おこってなくて、わらってる。
ぼくがなんて言うか、まってるみたい。
言わなきゃ、ちゃんと言わなきゃ。
「も、もぉ・・・ぉ、おなか、いっぱい・・・に、なっちゃって・・・ここあ、のこしちゃうの・・・ごめん、なさい」
「そうか。ちゃんと言えて偉かったな。また飲みたくなったら言うんだぞ。今度は俺が淹れてやるからな」
ちゃんと言えて、えらかった?
ぼく、せっかくもらったここあ、のこしちゃうのに?
お母さんにもらったごはんもお水も、のこしたりしたらぶたれるのに?
どおして?
「ど・・・して・・・」
「うん?」
ここあがはんぶん、入ったままのコップ。
よしとらさんがぼくからそおっととって、ときとうさんにわたした。
ときとうさんも、おこらない。
せっかくもってきてくれたの、のこしちゃったのに。
「どぉして、おこらない、の・・・」
「美月が良い子だから。残してごめんなさいって、ちゃんと謝っただろ」
イイコ?
ぼく、イイコ?
はじめて、イイコって、言われた。
「・・・うれしい」
「──っ!」
あれ、よしとらさん、どおしてびっくりしてるんだろ。
ぼく、なにか、へん?
「よしとら、さん?」
「美月は、天使なのか?」
「てんし?」
てんし、ってなんだろ。
「てんし、ってな・・・」
「悪かった、今のは俺の独り言だから忘れてくれ」
「ぅ、はい・・・」
はい、って言ったけど、ほんとはしりたかった。
よしとらさんが言った、ことばのいみ。
よしとらさんが、ぼくのこと、なんて言ったのか。
よしとらさんが、ぼくのこと、どんなふうにおもってるか。
・・・あとで、ときとうさんに、きいてみようかな。
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