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着ぐるみパジャマ

麗彪(よしとら)side】 「戻りましたぁ~。すぐ仕度しますから時任(ときとう)が~」 買い物から帰った駿河(するが)が慌ただしくキッチンへ入って行った。 随分買ってきたな。 近所のショッピングモールに行くと言っていたから、食材以外も買ってくるだろうとは思っていたが。 食料品系が入っていそうな袋が3つと、衣類系と思われる紙袋が3つ。 どうやって持ってきたんだ・・・。 「麗彪さん、とりあえず美月くんの服買ってきました。これ、部屋着です」 「ああ、悪い・・・ん?」 可愛らしいロゴの入ったピンクのショップバッグから出てきたのは、駿河曰く美月の部屋着。 それは淡いピンク色をして、肌触りのいいフリース地、フロントには生地と同じくピンクの釦と・・・。 「これ、兎か?」 「はい、ウサギの着ぐるみパジャマです。ルームシューズも付いてますよ」 「・・・・・」 兎の着ぐるみパジャマ。 フードには長い垂れ耳と、ご丁寧に丸い尻尾まで付いている。 こんなの着せたら・・・可愛過ぎるじゃねぇか。 「美月、これ着るか?」 「よ・・・、ぇっと、きても、いいんですか?」 汚れるって言葉を飲み込んだ。 やっぱり美月は賢い。 「その服じゃ寒いだろ。これ、あったかいぞ」 「き、きます」 「じゃあこのTシャツ下に着てください。そのズボンとシャツは預りますね」 駿河に促され、シャツの釦をぷちぷちと外していく美月。 ・・・別に、(やま)しい理由で美月の着替えを見てるんじゃない。 手助けが必要かもしれないと思って見守っているだけだ。 特に躊躇う様子もなくシャツを脱いだ華奢な身体を舐めるようになんて見てない断じて。 「はい、先にTシャツ着てくださいね」 「ぁ、ありがとうございます」 駿河から受け取ったTシャツに美月が袖を通す。 白地の長袖Tシャツには、ショッキングピンクの兎が所々ぴょこぴょこ跳ねている。 同じショップバッグから出てきたってことは、同じ店の商品なんだろう。 それにしても、こんなデザインの服を置いている店によく入ったな。 まあ、駿河なら違和感な・・・くはないか。 スーツ着た長身の男が独りで可愛い子供服を物色・・・。 他の客はさぞかし驚き大いに引いただろう。 そうだ、今度は美月も連れて、美月に好きな服を選ばせてやろう。 兎Tシャツを着た美月が、シャツを脱いだ時と同じように、躊躇無くハーフパンツを下ろした。 Tシャツの裾からちらりと白い下着が見える。 そこから伸びる白く細い脚も(あらわ)になった。 「・・・・・っ」 ・・・・・俺よ、余計な事は考えるな。 美月に関して変態なのはもう認めてる。 だが美月はまだ本当に子どもだ。 表情や仕草を可愛い可愛いと思うのはいいが、これはだめだ。 美月が穢れる。 僅かに視線を逸らし、心を無にしようと必死だった。 「よしとらさん?」 「なっ、何だ美月?着れたか?」 俺の問いに、兎美月がこくりと頷く。 フリース地の手触りが気に入ったようで、少し余った袖をにぎにぎしている。 「美月、可愛い」 「麗彪さん、心の声が駄々漏れですよ」 駿河が呆れた様に言った。 そんな事を言っても、お前だって兎美月見てニヤニヤしてんじゃねぇか。 駿河に触らせない様、美月を膝に座らせた。 やれやれ、とでも言いたげな顔で、美月の脱いだ服を持って部屋を出ていく駿河。 また床から離れてぷらぷらと浮いてしまった美月の足に、着ぐるみパジャマとセットのルームシューズを履かせ、晩飯が出来るまで2人でずっと、フリースの触り心地を楽しんだ。

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