10 / 70

ふわふわ

美月(みつき)side】 ふわふわの、きぐるみぱじゃま。 きもちいい、あったかい。 よしとらさんが、るーむしゅーずもはかせてくれた。 るーむしゅーずって、おうちの中ではいてていいの? でも、よしとらさんに、るーむしゅーずをはかせてもらってるとき、きがついた。 ぼく、よしとらさんのひざの上に、すわっちゃってる・・・! どおしようどおしようっ! 「ぅ、あ、ごめんなさいっ!」 「どうした、何謝ってる?ほら、落っこちるぞ」 いそいで、よしとらさんの上からおりようとしたけど、よしとらさんがぼくのこと、うしろからぎゅってするから、うごけなくなった。 ぼく、おりなくて、いいの・・・? 「よしとらさん、ぼく、よしとらさんの上に、すわっちゃってます・・・」 「ああ、そうだな。嫌か?」 いや・・・? よしとらさんの、ひざの上が、いや? よしとらさんが、うしろからぎゅってしてくれるのに、いや? 「・・・や、じゃ、ないです」 いや、じゃない。 ほんとは、おりたくない。 ぎゅって、してて、ほしい。 「ぼく、ひざの上すわるの・・・はじめてです」 「そうか。気に入ったならずっと座ってていいからな」 「ずっと?」 くびだけうごかして、よしとらさんを見る。 やさしく、わらってる、よしとらさん。 「よしとらさん」 「ん?」 きまってるって、言ってた。 だから、もおいっかい、言ってもいい、かな。 「ぼく、よしとらさんのひざの上も、よしとらさんのわらってるかおも、よしとらさんにぎゅってしてもらうのも・・・すき、です」 ぼくがいいおわったら、よしとらさんのぎゅってするちからがつよくなった。 ちょっとくるしい、けど、いやじゃない。 「美月、俺も美月が大好きだ。結婚しよう!」 「けっこ・・・」 「夕食できましたよ~!」 するがさんが、ごはんできたって言ってる。 よしとらさんは、ぼくのかたにかおをくっつけて・・・かくれてる、のかな。 きぐるみぱじゃま、ふわふわできもちいいから、かな。 「お腹空いただろ。行こう、美月」 すこしして、よしとらさんがかおを上げた。 そのまま、ぼくをだっこして、あるく。 だっこ、はじめて。 よしとらさんは大きいから、ぼくも大きくなったきぶん。 「よしとらさん」 「ん?」 「けっこんって・・・」 「あ、後で教えるから、な?」 よしとらさんが、おしえてくれるって言ったから、ぼくはうんって言ってうなづいた。 でも、ぼく、けっこんはしってるよ。 よしとらさん、ぼくとけっこんしてくれるの? ぼくをおよめさんに、してくれるの? ぼく、おんなのこじゃないよ? よしとらさんにだっこされて、よしとらさんのおよめさんにしてもらえるかもしれなくて。 ぼくのあたまとこころは、ふわふわふわふわ、してた。

ともだちにシェアしよう!