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ありがとう
【美月 side】
「おなか・・・いっぱい・・・」
もお食べられない。
こんなに、おなかいっぱいになったの、はじめて。
りぞっと、おいしい。
ちょっと、おかわりしちゃった。
さらだも、おいしかった。
きらいなやさい、なかったよ。
りんごも、おれんじも、いちごも、ぶどうも・・・ばななも、おいしかった。
「たくさん食べたな。偉いぞ美月」
よしとらさんが、えらいぞって、言ってくれた。
おなかいっぱい、食べただけなのに。
てーぶるの、むこうがわにすわってる、するがさんがぼくに言った。
「嫌いな味の物はなかった?」
「ない、です。ぜんぶ、おいしかった!」
「そっか、良かった~。美月くんは本当に良い子ですね~」
するがさんも、いいこって、言ってくれた。
するがさんのとなりにすわってる、ときとうさんも、うんうんって、うなづいてる。
ぼく、よしとらさんのとこに、きてよかった。
みんな、やさしい。
えらいって、いいこって、言ってくれる。
おこらない、ぶったりしない・・・。
「・・・よしとらさん、ありがとう!」
「ん?飯作ったのは時任 だぞ」
「ときとうさん、ありがとう!するがさん、ありがとう!」
ありがとうって、まえに言ったの、いつだったかな・・・。
ずっとずっとまえ、おかあさんに、言ったきがする・・・。
なんで、言ったんだっけ・・・。
「ありがとうなんて言われたの、久しぶりですね」
「ああ」
「美月・・・っ」
よしとらさんが、ぼくのこと、ぎゅーってしてくれる。
ぎゅーってしてもらうの、すき。
ぎゅーってしてくれる、よしとらさんが、すき。
ぼくも、よしとらさんのこと、ぎゅーってしたら、よしとらさんも、うれしいかなぁ。
「・・・っ!美月が抱きついてくる・・・っ!可愛いっ!」
「麗彪さん、あんまり強くしちゃだめですよ!美月くんが壊れます!」
するがさんが、よしとらさんに言った。
ぼく、こわれないよ?
だってよしとらさん、やさしくぎゅーってしてくれてるもん。
「美月は俺が見てますから、麗彪さんシャワー浴びてきてください」
ときとうさん、ぼくのこと、なまえでよんでくれた。
あんまりわらわないけど、ときとうさんも、やさしい人だとおもう。
「おい時任、なんで美月は積極的に面倒見んだよ?お前超人見知りだろ?美月は俺のだからな?」
「美月くんを物扱いしない。ほら、シャワー入って来ちゃってくださいよ」
そお言って、するがさんが、ぼくをよしとらさんの、ひざのうえからおろした。
よしとらさん、しゃわーにいっちゃうの?
しゃわーって、どこ?
どこいくの?
「よしとらさん、どこ、いくの・・・?」
「シャワー・・・美月!?な、泣くなって、すぐ戻るから、な?ほら、そこが風呂場だから。近いだろ?なんなら一緒に入るか?」
「ひとりで行ってらっしゃい。さあ美月くん、俺と時任と3人で遊びましょうね~」
あそびましょう・・・?
あそぶ、の?
「あそぶっ!」
「何がいいですかね~。ゲーム機は一通り揃えてありますけど、美月くんにはまだ難しそうだし・・・双六みたいのありましたよね?」
「モノポリーな。それよりオセロの方が簡単だろ」
「あとは、トランプか、ウノ?」
「ジェンガあったろ」
げーむき、すごろく、ものぽりー、おせろ、とらんぷ、うの、じぇんが・・・?
しらないもの、ばっかり。
でもぼく、あそんでもらえるなら、なんでもいい。
なんでも、うれしい。
はじめて、ひとりじゃなくて、だれかとあそぶ。
よしとらさんと、するがさんと、ときとうさんと、ぼく。
あれ、よしとらさん、しゃわーいかなくていいの、かな?
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