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待ち受け

麗彪(よしとら)side】 美月(みつき)は本当に賢い。 ジェンガもウノもトランプも、すぐにルールを覚えて楽しく遊んだ。 オセロではハンデ無しで駿河(するが)に勝った。 きっと、すぐに成長するんだろう。 ・・・今のままの、未発達な美月も可愛いんだが。 「美月、眠いだろ」 駿河に被せられた着ぐるみパジャマのフードから、だらりとたれる兎耳。 それが、ゆらゆらと揺れ始めて5分程経った。 「・・・んぇ、・・・ねむ、ぅ・・・なぁ・・・ょ・・・」 明かに呂律が回ってないのが何とも可愛い。 「眠いな。明日も遊べるから、今日はもう寝ような?」 「・・・んん・・・ぁした・・・あそぅ・・・」 既に半分夢の中に浸かった美月を抱き上げ、自分の寝室へ連れていく。 「麗彪さんのベッドに寝かせるんですか?」 崩しっぱなしのジェンガを積み直しながら駿河が聞いてきた。 「悪いか」 「いえ。麗彪さんはソファで寝るんですよね?」 「何でだよ」 このふわふわ兎と一緒に寝るに決まってんだろ。 ベッドにそっと美月を寝かせようとしたが、美月の小さい手が俺のシャツを控え目に掴んでいるのに気が付いた。 くそ、可愛過ぎる・・・! 控え目のわりに放す気配がないので、やむを得ずシャツを脱いで人質ならぬ物質として置いていく事に。 そのまま、起こさない様そおっと部屋を出る。 なんとなく心配なので、部屋のドアは少し開けておいた。 さてと、さっさとシャワーを浴びて天使の隣で横に・・・。 「麗彪さん、美月くんが寝てる間に仕事片付けちゃってくださいよ」 「あ?」 「あ、じゃなくて。表のやつなんで、ちゃちゃっと済ませちゃってください」 「・・・・・」 駿河に言われ、渋々リビングに戻る。 時任(ときとう)が用意していたノートPCを開き、必要最低限の仕事をざっくりこなした。 ・・・まあ、後は駿河と時任がうまくやるだろ。 「終わった」 「了解で~す」 閉じたノートPCを時任に預け、浴室へ向かった。 シャワーを浴び、スウェットにTシャツ姿で寝室へ入ると、ベッドでは小さな天使が小さな寝息をたてて眠っていた。 俺のシャツを抱き締めて。 ・・・やべぇ、写真撮りてぇ。 スウェットズボンのポケットに入れていた携帯を取り出し、カメラアイコンにタッチする。 一番可愛く見えるアングルで構えたまま、本人の承諾も無しに寝顔を撮って良いものかと暫し葛藤し、結局撮影してしまった。 シャッター音の大きさにビビる。 美月は眠ったままだ。 大丈夫だ美月、絶対に何処にも流出させねぇから。 とりあえず俺の待ち受けにするだけだから・・・! 画像を保存すると同時に待ち受けに設定し、用済みになった携帯をサイドテーブルに置く。 細心の注意をはらいながらベッドへ入ると、美月の手からシャツを引き抜き、自分の方へやんわり抱き寄せた。 美月の小さな手が、俺のTシャツを控え目に握るのを確認し、とても他人には見せられない様な弛みきった顔で、眠りについた。

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