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握る手

麗彪(よしとら)side】 小さな泣き声で目が覚めた。 時計を見ると午前4時。 「美月?」 「・・・ひ・・・ぅ・・・っ、・・・め・・・なさ・・・っ」 俺の隣で、小さな身体を更に小さく丸めて眠る美月。 悪夢に(うな)されているのは一目瞭然だった。 恐らく、オカアサン絡み。 くそ、美月の夢にまで出やがって、2度と出られなくなる様に細かく刻んでから焼いて詰めて沈めて・・・いやいや、今は美月の事だけ考えろ俺。 「美月・・・大丈夫だ。俺がいる」 起こさない様にそっと抱き上げ、仰向けになった自分の腹の上に。 その上から羽毛布団を掛け直し、小さな背中を静かに摩る。 「まだ早い、もう少し寝てろ。起きたら飯食って、一緒に絵本買いに行こうな」 苦しそうに強張(こわば)っていた身体が、少しずつ落ち着いていき、静かな寝息に変わる。 ・・・良かった。 「美月は、どんな絵本が好きなんだろうな」 絵本でも、オモチャでも服でもお菓子でも、美月が欲しがる物は片っ端から買ってやる。 どんな顔をするだろう。 朝が来るのがこんなに楽しみなのは、ガキの頃以来じゃないか。 腹の上の美月を見ると、また控え目に、俺のTシャツの端を握っている。 ・・・可愛い。 その小さな手を見ながら、俺もまた、穏やかな眠りに落ちていった。

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