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しあわせ

美月(みつき)side】 夜ごはんは、麗彪(よしとら)さんがつくってくれるって。 ベッドで寝てていいよって言われたけど、麗彪さんとはなれたくなくて、キッチンのとこまでつれてきてもらった。 麗彪さんがおっきなクッションを持ってきてくれて、その上に座ってる。 いつも駿河(するが)さんが座ってるやつで、人をだめにするソファって言ってた。 「大丈夫か美月」 「うん。動かないよおにしてたら、だいじょぶ・・・」 えっとね・・・おしり、いたいの。 だから、毎日はだめって、麗彪さん言ったのかな・・・。 「よし、何が食いたい?時任(ときとう)みたいに何でもはつくれないけど、食べたいモノ言ってみて?」 「えっと・・・オムライス!おっきいの!」 「任せろ」 ぼくに、ちゅってしてから、おやさいを切り始める麗彪さん。 お料理してるのも、かっこいい・・・。 ・・・あ! けいたい、持ってればよかった・・・。 お料理してる麗彪さんの写真、とりたかったな・・・。 「ケチャップで何描いて欲しい?」 「ヤドカリ!」 「まじかよ」 まあるく目をかいて、ちょきちょきハサミかいて、ぐるぐるかいがら・・・! 「麗彪さんじょーず!!」 「まあな」 おっきくて、きれいなオムライス。 リビングのソファに座った麗彪さんのひざの上に座って、麗彪さんと食べる。 「しあわせ」 幸せって言葉、辞書で見つけてしらべた。 運が良い事、幸運、幸福。 運は、めぐりあわせ、さだめ。 幸福は、恵まれた状態にあって満足に楽しく感じること。 麗彪さんに会えて、麗彪さんのお家に来て、麗彪さんといっしょにいられて、駿河さんと時任さんと片桐(かたぎり)さんとカンナさんもいて、とってもとっても、しあわせ。 「美月が幸せなら俺も幸せだ」 麗彪さんを大好きな気持ちがいっぱいになって、笑ってるのになみだが出る。 かなしい時じゃなくても、なみだって出るんだ。 知らなかったこと、またひとつ知れて、麗彪さんが大好きって気持ちがふえた。

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