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お揃い
【麗彪 side】
・・・11:13。
やべぇ、寝過ごした。
腕の中には穏やかに眠る可愛い美月 。
貴重な二人きりの時間が・・・。
取り敢えず、天使の寝顔を撮って壁紙リストに追加する。
「・・・ん・・・ぅ」
「おはよう美月」
「・・・ぉはよ・・・よしとらさん」
とろん、とした笑顔。
写真に撮りたかったが、キスする方を優先した。
遅い朝飯兼早い昼飯にホットサンドをつくって食べる。
美月を着替えさせ、俺の車で出掛けると伝えると、車を見るのが楽しみだとはしゃいだ。
「かっこいいーっ!!なんて名前の車?」
「レクサスGSF」
「れくさすじーえすえふー!」
美月は本当に車が好きだな。
助手席に座らせシートベルトをしてやり、隙を見てはキスをしながら、今度は美月に乗りたい車を選ばせようと思った。
「麗彪さん、運転してるとこ、写真とってもいい?」
「美月ならいいぞ」
運転する俺を携帯で撮り、前に教えた方法で壁紙リストに登録する美月。
本当に何でも覚えて賢いな。
「麗彪さん、どこ行くの?」
「買いたい物がある。その後おやつ食おうな」
自分で言うのもなんだが、未だかつて無い超安全運転で目的の店へ。
連絡してあったのですぐ担当が出迎えに来た。
「榊 様、お待ちしておりました」
上の階の個室へ通されると、暖かいミルクティと、頼んであった物がガラステーブルに幾つか並べられている。
「美月、どのデザインがいい?」
「・・・これ・・・ゆびわ・・・?」
美月に似合うよう華奢なデザインを揃えさせた、ペアリング。
じーっと眺めてから、手前の物に手を伸ばしかけ、躊躇 う美月。
「さ、さわって、いいの?」
「ああ。全部着けてみて、美月が気に入ったの買おう。俺とお揃いで」
「おそろい・・・」
美月の大きな瞳がうるうるきらきら。
誓のキスにときめくなら、指輪も喜んでくれると思い連れてきたが、どうやら当たりだったようだ。
「・・・どおしよ、これも、きれい・・・こっちも・・・」
「全部買う?」
「えっ・・・ぃ、いっこにするっ!ちゃんときめるからっ」
「はは、ゆっくりでいいからな」
手前から順番に試し、悩む美月が堪らなく可愛い。
二周試してから決めたのは、小さなダイヤが埋め込まれたシンプルなデザイン。
後ろで控えていた担当に伝え、俺と美月のサイズで用意させる。
美月の左薬指にはめてやり、自分の左薬指にも同じデザインの指輪をはめた。
「・・・ぅ、うれしい・・・っ!」
「美月が喜んでくれれば俺も嬉しいよ」
「麗彪さん大好きいーっ!!」
抱きついてきた美月をそのまま抱き上げ、店を出る。
見送りの担当に車のドアを開けさせ、助手席に美月を座らせた。
「よし、次はおやつな」
「うんっ!」
右手でそっと指輪に触れながら、最高の笑顔を見せてくれる美月。
執拗 いかもしれないが我慢出来なかったのでキスをして、再び超安全運転で車を走らせた。
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