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けちゃっぷとおひめさま
【美月 side】
おひるのごはんは、おむらいす、食べました。
きいろくて、ふわふわで、中のごはんがおいしくて。
えっと、あかいの・・・けちゃっぷ、おいしい!
でも、じょうずに食べられなくて、くちのまわりに、けちゃっぷ、いっぱいついちゃう。
よしとらさんが、ゆびでとってくれて、けちゃっぷついてたのがわかった。
よしとらさん、ゆびについたけちゃっぷ、なめちゃった。
どおしよ、ぼくがよごしちゃったのに、よしとらさんになめてもらっちゃった・・・!
でも、おむらいす、おいしくて、またけちゃっぷついちゃって・・・。
また、よしとらさんがゆびでとってくれたから、こんどはぼくがなめた。
「美月、俺以外には絶対にするな、俺だけだからな!」
「はぃ」
・・・だめだったの、かな。
そのあと、また、くちのよこに、けちゃっぷ。
わざとじゃ、ないけど、またつけちゃった・・・。
でも、こんどはよしとらさん、ゆびでとってくれなかった。
ちょっとがっかり・・・でも、じぶんでとろうとおもったら、そしたら。
よしとらさんが、なめた。
「ぇ、え?」
「ケチャップ取っただけだ。おいうるせぇぞ駿河 」
「なぁ~んにも言ってませぇ~ん」
いまの、ほっぺたより、もっと、くちのちかく。
もおちょっとで、もしかして、もしかしたら、よしとらさんと・・・。
きす、しちゃったかも、しれない・・・。
ぼく、よしとらさんと、きす、しそうだった・・・!
えほんで、おうじさまと、おひめさまが、けっこんするときにする、ちかいのきす。
よしとらさん、ほんとに、ぼくとけっこんしてくれるの、かなあ・・・。
ぼく、ぜんぜん、おひめさまじゃないけど・・・。
よしとらさんみたいに、おっきくなって、かっこよくなりたいって、おもってた。
でも、やっぱり、ぼく・・・。
「ぼく・・・おひめさまに、なりたい・・・」
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