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がぶってしても、いいよ
【美月 side】
ここ、どこだろ。
ふわふわする。
あ、あそこになにかある。
はしって行こうとしたけど、じょうずにはしれない。
なんでこんなに、ふわふわしてるんだろ。
よしとらさん、どこ?
「ここにいる」
あれ、とらきち?
とらきちが、よしとらさんのこえで、しゃべった?
「とらきち、しゃべれるの?」
じょうずにはしれないまま、とらきちのところまできたけど、やっぱりじょうずにとまれなくて、とらきちの上にころんじゃった。
いたくない。
とらきちも、ふわふわだからかな。
「ごめんね、とらきち、いたくなかった?」
「獣 なんだぞ」
「ふぇ?」
ふわふわのとらきちが、いつのまにか、よしとらさんになった。
よしとらさんが、ぎゅって、だっこしてくれる。
「けだものでも、よしとらさんでしょ?」
「頭からがぶって喰われるんだぞ」
あ、それ、ときとうさんが言ってた。
でも、ぼく、こわくないよ。
「よしとらさんなら、いいよ。がぶってしても、いいよ」
だってぼく、よしとらさんが、すきだもん。
よしとらさんと、もっといっしょに、いたい。
おんなのこじゃないけど、でも・・・よしとらさんの、およめさんに、してほしい。
「よしとらさん、ぼくと、けっこんして、ぼくを、およめさんにして・・・」
よしとらさんが、ぼくをぎゅってするちからが、つよくなった気がした。
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