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ペスカトーレと階段
【美月 side】
「麗彪 さん、頑張ってるから1時間早く帰ってきてだって〜」
「えっと、2時に帰っていいってことですか?」
「うん。お買い物の続きはまた今度にして、もぉ少しここでゆっくりしてから帰りましょうね〜」
「はいっ!」
駿河 さんのケータイに、時任 さんから連絡がきて、予定より早く帰ることになった。
麗彪さんは今日じゅうに終わらせないといけないお仕事があるから、じゃましちゃわないよおに、ぼくは駿河さんといっしょにお買い物にきてる。
今は、レストランでお昼ごはん中。
パスタランチ、食べた。
サラダと、スープと、スパゲッティ。
ぼくはサーモンとほうれん草のクリームパスタ、駿河さんはペスカトーレ。
ひとくち、交換したけど、ペスカトーレはちょっとからかった。
駿河さんはぜんぜんへーき、だって。
ぼくも、ペスカトーレ食べられるよおになったら、もっとちゃんと、おとなっぽくなれるかなぁ・・・。
「駿河さん」
「なんですか〜?」
「ぼく、いつおとなになれますか?」
「んん!?え、美月くん、大人になりたいの?・・・えっと、どーなんだろ・・・既に大人の階段は獣 によって登らされちゃって・・・いや、たぶんそーゆー意味じゃないよね〜」
駿河さん、こまっちゃってるみたい。
おとなのかいだん・・・ぼく、のぼったの?
どの階段だろ・・・おうちはエレベーターだけど・・・。
「今のままでも、大人になっても、美月くんは美月くんだから、焦らなくてもいいんじゃないかな〜。麗彪さんも慌てないでって言うと思いますよ。帰ったら聞いてみましょうね〜」
あせってるの、かな。
ぼく、あわててる?
まだ、おとなになる時じゃないのかな。
おとなって、なん才からなんだろ。
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