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嫉妬しました

美月(みつき)side】 なんか、変な感じする。 なんだろ、これ。 苦しいみたいな、気持ちわるいみたいな、でも病気のとはちがうみたいな・・・。 「いいからあっちで呑めよ新名(にいな)」 「どうぞお気遣いなく。俺はここにいたいので」 「俺がついでやる。ほら、親父の横で呑んで来い」 「いえいえ、俺が麗彪(よしとら)さんにおつぎします。なんなら瓶ごと呑んでください」 麗彪さんと新名さん、仲よしさんなんだなって、思って見てた。 仲よしさんなのは、いい事、だよね。 それなのに・・・。 「みっちゃん、どうしたんだい?もうお腹いっぱいか?」 「・・・んーん、まだケーキ、食べるよ」 いちごのケーキ、好き。 ぱぱのいちごも、もらっちゃった。 おいしくて、うれしいのに、なんで変な感じがなおらないんだろ・・・。 「麗彪さん、もう呑めないんですか?」 「あ゛?てめぇこそ降参か?」 仲よしさん・・・ずっと新名さんと2人で、楽しそお・・・。 麗彪さん、ずっと、ぼくの方、見てくれない・・・。 「ぱぱ」 「なんだい?」 「今日、ぱぱと寝てもい・・・」 「みつきぃ!?」 び、びっくりした。 新名さんと仲よししてた麗彪さんが、いきなりぼくの方見た。 聞こえてないと思って言ったのに。 「美月、嘘だよな?親父と寝るなんて、そんな事しないよな?」 「ぇっと・・・麗彪さんは、新名さんといっしょが、いいのかなって・・・」 「美月以外と寝る訳ないだろ!美月が俺以外と寝るのもだめだ!ぜったいだめだっ!!」 だって、新名さんと仲よしだから。 ぼくじゃなくても、いいのかなって思って。 それで、変な感じになっちゃって・・・。 「ほんとに・・・?麗彪さん、ぼくじゃないと、だめ・・・?」 「だめ」 「・・・ゎかった」 よかった、麗彪さんは、ぼくじゃないと、だめだって。 変な感じ、なくなった。 「ぱぱ、ごめんね、やっぱり麗彪さんと寝る」 「そうか、残念だなあ。まあ麗彪はみっちゃんじゃなきゃだめでも、みっちゃんは麗彪じゃなきゃだめって事は、ないんじゃないか?」 「お嬢、俺と寝ましょう!」 「黙れ新名!美月に触んな!親父も余計な事言ってんじゃねぇよ!美月は俺の事が好きなんだっ!」 麗彪さんが、ぼくをぎゅうってして、怒ってる。 みんながこわがっちゃうから、だめだよって言わなきゃいけないのに、ぱぱにもらったいちごよりうれしくて、だめだよって言えない。 「ったく、おい麗彪、みっちゃんはな、お前が新名ばっかり構うから嫉妬してくれたんだぞ。感謝して出家でもしやがれ」 「・・・美月が・・・嫉妬・・・?」 しっと? じしょない・・・あ、ケータイで調べるの教わったんだった。 嫉妬・・・自分の愛する者の愛情が他に向くのを恨み憎むこと、やきもち。 ぼく、麗彪さんが新名さんの事、好きなのかもって思って、それで・・・。 「ぼく・・・嫉妬・・・しました・・・」 「みつきが・・・しっと・・・して・・・くれた・・・」 麗彪さんのぎゅうーが、もっと強くなった。 ぼく以外に、ぎゅうって、してほしくない。 そう思うのも、嫉妬なのかな。 「すげー嬉しい。今までで最高の誕生日プレゼントだ」 え、嫉妬がプレゼントになっちゃうの? リボン、つけられないけど、いいのかな・・・。

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