84 / 300
嫉妬しました
【美月 side】
なんか、変な感じする。
なんだろ、これ。
苦しいみたいな、気持ちわるいみたいな、でも病気のとはちがうみたいな・・・。
「いいからあっちで呑めよ新名 」
「どうぞお気遣いなく。俺はここにいたいので」
「俺がついでやる。ほら、親父の横で呑んで来い」
「いえいえ、俺が麗彪 さんにおつぎします。なんなら瓶ごと呑んでください」
麗彪さんと新名さん、仲よしさんなんだなって、思って見てた。
仲よしさんなのは、いい事、だよね。
それなのに・・・。
「みっちゃん、どうしたんだい?もうお腹いっぱいか?」
「・・・んーん、まだケーキ、食べるよ」
いちごのケーキ、好き。
ぱぱのいちごも、もらっちゃった。
おいしくて、うれしいのに、なんで変な感じがなおらないんだろ・・・。
「麗彪さん、もう呑めないんですか?」
「あ゛?てめぇこそ降参か?」
仲よしさん・・・ずっと新名さんと2人で、楽しそお・・・。
麗彪さん、ずっと、ぼくの方、見てくれない・・・。
「ぱぱ」
「なんだい?」
「今日、ぱぱと寝てもい・・・」
「みつきぃ!?」
び、びっくりした。
新名さんと仲よししてた麗彪さんが、いきなりぼくの方見た。
聞こえてないと思って言ったのに。
「美月、嘘だよな?親父と寝るなんて、そんな事しないよな?」
「ぇっと・・・麗彪さんは、新名さんといっしょが、いいのかなって・・・」
「美月以外と寝る訳ないだろ!美月が俺以外と寝るのもだめだ!ぜったいだめだっ!!」
だって、新名さんと仲よしだから。
ぼくじゃなくても、いいのかなって思って。
それで、変な感じになっちゃって・・・。
「ほんとに・・・?麗彪さん、ぼくじゃないと、だめ・・・?」
「だめ」
「・・・ゎかった」
よかった、麗彪さんは、ぼくじゃないと、だめだって。
変な感じ、なくなった。
「ぱぱ、ごめんね、やっぱり麗彪さんと寝る」
「そうか、残念だなあ。まあ麗彪はみっちゃんじゃなきゃだめでも、みっちゃんは麗彪じゃなきゃだめって事は、ないんじゃないか?」
「お嬢、俺と寝ましょう!」
「黙れ新名!美月に触んな!親父も余計な事言ってんじゃねぇよ!美月は俺の事が好きなんだっ!」
麗彪さんが、ぼくをぎゅうってして、怒ってる。
みんながこわがっちゃうから、だめだよって言わなきゃいけないのに、ぱぱにもらったいちごよりうれしくて、だめだよって言えない。
「ったく、おい麗彪、みっちゃんはな、お前が新名ばっかり構うから嫉妬してくれたんだぞ。感謝して出家でもしやがれ」
「・・・美月が・・・嫉妬・・・?」
しっと?
じしょない・・・あ、ケータイで調べるの教わったんだった。
嫉妬・・・自分の愛する者の愛情が他に向くのを恨み憎むこと、やきもち。
ぼく、麗彪さんが新名さんの事、好きなのかもって思って、それで・・・。
「ぼく・・・嫉妬・・・しました・・・」
「みつきが・・・しっと・・・して・・・くれた・・・」
麗彪さんのぎゅうーが、もっと強くなった。
ぼく以外に、ぎゅうって、してほしくない。
そう思うのも、嫉妬なのかな。
「すげー嬉しい。今までで最高の誕生日プレゼントだ」
え、嫉妬がプレゼントになっちゃうの?
リボン、つけられないけど、いいのかな・・・。
ともだちにシェアしよう!

