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テストとご褒美

麗彪(よしとら)side】 「なぁ美月(みつき)ぃ」 「・・・なぁに」 「それまだ終わんねぇの?」 「・・・ぅん」 「美月ぃ」 「・・・・・・なぁに」 「俺の事好きぃ?」 「・・・・・・ぅん」 「みつ・・・」 「麗彪さんいい加減美月の邪魔すんのやめてもらえますか?」 ああ゛? 邪魔してきてんのはてめぇだ時任(ときとう)。 美月を構いたくて急いで仕事終わらせてきたのに、学力テストなんてやらせやがって。 真面目な美月がテストに真剣で俺を構ってくれねぇだろうが。 「真剣な顔も可愛いな美月」 「美月に触るの禁止です。あと5分ですから大人しくしといてくださいよ」 触るのもだめかよ。 俺の美月だぞ。 「これ、中学生用のテストか?」 「中学3年相当のものです。駿河(するが)が作りました」 所々悩んではいるみたいだが、全問しっかり回答してる。 美月は本当に賢いんだな。 中学どころか小学校にも通わせてもらってないのに、自宅学習でここまで出来るようになるなんて。 因みに、国語は駿河と片桐(かたぎり)、数学は時任とカンナ、理科はカンナと片桐、社会は俺と駿河、英語は俺が教えてる。 とにかく暗記が得意で、一度きちんと理解すると応用まで効くから、天才児と言って過言ではない。 「できましたっ!」 「ああ。採点するから、麗彪さんと遊んであげていいぞ」 「じゃあ美月、コンビニデート行くか?」 「行くっ!」 最近は纏まった休みが取れず遠出が出来ないから、コンビニデートをよくする。 手を繋いでコンビニまで歩いて、アイス買って食べながら帰ってくるのを美月は意外と気に入っているらしい。 「テストの点が良かったらご褒美やらないとな。何がいい?」 コンビニまで徒歩5分の道のりを恋人繋ぎでゆっくり10分かけて歩きながら、時任に先を越されないよう先手を打つ。 美月を一番喜ばせていいのは俺だ。 「なんでもいい?」 「ああ」 「えっと、じゃあ、んーと・・・」 テストより悩んでるな。 美月は相変わらず無欲だから、欲しい物を聞くとなかなか答えられない。 何だって買ってやるのに。 コンビニまるごと買ってやってもいいんだぞ。 「・・・・・・がぶって、してほしぃ」 「キスか?」 「違くて・・・噛むやつ・・・噛んだの、残るやつ・・・」 それは、噛み痕が欲しいって言ってんのか? 前にヤった時は痛がって泣いてただろ。 やたらエロくて似合ってたけど、もうしないって俺は言ったぞ。 「あれは痛いからもうしないって・・・」 「ごほうび何でもいいって言ったぁ!」 それも言ったな。 コンビニ買ってと言われる方がよっぽど気楽だったんだが。 噛み後が欲しいなんて、天使のくせにエロいんだよ美月は。 「わかった。でも1つだけな。どこがいい?」 「前は4つだったのに」 「前は前、今は今」 美月がむうっと唇を尖らせた。 可愛いが過ぎる。 コンビニでアイスを買い、食べながらマンションに向かう間、どこに噛み痕を付けるか美月はずっと悩んでいた。 俺としては際どいトコにしたいんだが、皮膚が薄くてかなり痛々しくかつ長く残るんだよな。 歩くにも少し痛がってたみたいだし、鼠蹊部(そけいぶ)はやめておくか・・・。 「麗彪さんは、どこ噛みたい?」 「俺に聞いちゃう?」 あーあ、知らねぇぞ。 暫く歩けなくしてやる。

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