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動物園、すごい

美月(みつき)side】 今日は麗彪(よしとら)さんがお休みで、動物園デートする。 動物園・・・とってもとっても楽しみっ! 「トラと、ライオンと、キリンと、ゾウと、コアラと・・・」 「カワウソもいるぞ」 「ほんとっ?行かなきゃっ!」 園内マップをもらって、見たい動物がどこにいるか見ながら、麗彪さんと手をつないで歩いてる。 あ、クマも見なきゃ。 「キツネザル・・・かわいい・・・」 「美月の方が可愛いだろ」 動物園、すごい! ほんとに色んな動物がいっぱいいる。 1日で全部見れるかな・・・。 「美月、そろそろ休憩しよう。ここ座ってろ、飲み物買ってくるから」 「うん」 木陰のベンチに座って、お店に飲み物を買いに行く麗彪さんを見てたら、女の人が3人、麗彪さんのとこ行って話しかけた。 麗彪さん、知ってる人なのかな? あれ、でも、麗彪さん、聞こえてない? ぜんぜんお返事してないみたい。 あ、飲み物買って、こっち戻ってくる。 女の人たち、困ってるみたいだよ? 「お待たせ。アイスティとアップルソーダどっちがいい?」 「アップルソーダ!ありがと」 アップルソーダ、甘くて冷たくてしゅわしゅわでおいしい。 あれ、あの女の人たち、こっち見てる? 麗彪さん、お話ししなくて大丈夫? 「ねえ麗彪さん、あの女の人たちとお話ししなくていいの?話しかけられたのに、お返事してなかったでしょ?」 「そんなのいたか?見間違いだろ。なあ美月、それ一口くれ」 見間違い、だったのかな。 麗彪さんに話しかけてるみたいだったけど、ちがったんだ。 麗彪さんにぼくのアップルソーダわたしたら、かわりに麗彪さんのアイスティくれたから、ぼくもアイスティひと口飲んだ。 あ、ミルクもお砂糖も入ってない。 麗彪さん用だ。 「ん」 「アップルソーダおいしい?」 「美月の味がするから美味(うま)い」 ぼくの味・・・するの? ぼく、こんなしゅわしゅわしてる? ジュース飲みながらまた歩いて、クマとサルとシマウマと・・・。 カンガルーはみんなごろんってねっころがってて、みんな疲れてるのかなって思った。 あっ、トラだ、ほんもの、やっぱりかっこいいっ! 動物園、すごい! 「あっちにふれあい広場あるぞ」 「ふれあい広場?」 ふれあい広場は、ウサギとモルモットとヒヨコさわれるんだって。 ウサギ、抱っこしたい! 「わあ、あったかい・・・」 ウサギ、お鼻がずっとひくひくしてる。 かわいい。 でも、思ってたより大きくて、抱っこするのやめた・・・。 モルモットはウサギより小さかったから抱っこさせてもらった。 大人しくて、あったかくて、ふわふわ。 「麗彪さんは抱っこしないの?」 「俺は美月以外抱っこしない主義だ」 しゅぎ・・・ってなんだろ。 後でケータイで調べよう。 あ、また女の人が麗彪さんに話しかけてる。 麗彪さん、その人のことちょっとだけ見て、ぼくのとなりに座って、ぼくのほっぺにちゅってした。 「どおしたの?」 「抱っこしていいか?」 「いいよ・・・ふぇ?」 やっぱりモルモット抱っこしたいんだって思ったのに。 麗彪さんはぼくが抱っこしてるモルモットじゃなくて、モルモット抱っこしてるぼくを抱っこしちゃった。 ぼくはふれあい広場の動物じゃないですよ? 「麗彪さん、あの人・・・」 「人違いだ。そろそろ昼飯食いに行こう」 人違いって、違う人と間違えられちゃったってことだよね。 そっか、麗彪さんに似てる人とはぐれちゃったのかな。 はやく見つかるといいね。 レストランで、ぼくはオムライス、麗彪さんはカツカレーを食べた。 食べ終わってウーロン茶飲んでたら、麗彪さんのケータイに電話がきた。 ちょっと外で電話してくるって。 ウーロン茶飲みながら待ってたら、知らない男の人が2人、テーブルの横に来た。 「ねえ君、ひとり?友達と来てるのかな?」 「俺たちと一緒に回らない?友達も一緒にさ、ね?」 え、ど、どおしよ・・・。 ぼくに言ってるんだよね? ぼく、友だちじゃなくて、麗彪さんと来てるんだけど・・・。 「俺のツレになんか用か?」 「「・・・ひぃ!?」」 あ、麗彪さん戻ってきた。 話しかけてきた男の人たち、あわてて逃げて行っちゃった。 麗彪さんのこと、恐かったのかな。 「麗彪さん」 「美月、大丈夫か?何かされなかったか?独りにして悪かった」 麗彪さんがぎゅってしてくれる。 うん、もお大丈夫。 「いっしょにまわろうって、言われただけ。友だちもいっしょにって言われたけど、友だちじゃなくて麗彪さんと来てるから、なんて言ったらいいかわからなくて・・・」 「それでいい。知らない野郎に話しかけられても聞こえないフリしろ。俺以外と話さなくていい」 「ふふ、わかった」 それから、カワウソとコアラとカピバラも見て、もお1回トラも見て・・・。 「動物園、すごい!」 「はは、また来ような」 「うん!」 手をつないで出口に向かって歩いてたら、また麗彪さんが女の人たちに話しかけられた。 3回目だ。 「あのぉ、帰るとこですかぁ?この後ぉ、4人で一緒にご飯行きませんかぁ?」 麗彪さん、知ってる人なのかな? だから、ご飯行こうって言ってるんだよね? ぼく、知らない人だけど、ぼくもいっしょに行くのかな・・・? 「嫁と来てるんで」 麗彪さん、すっごい恐い顔で言った。 よめ・・・って、お嫁さんのことだよね? それ、ぼくのこと? でもぼく、今日は女の子のかっこしてないよ・・・? 「行こう美月。夜はハンバーグ食いたいって言ってたよな」 「あ、うん」 女の人たち、きゃーって言って、なんか喜んでるみたいだけど、なんで? 麗彪さんに恐い顔で断られたのに、嬉しいの? なんだかわからないけど、動物園、楽しかったなあ。
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