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ユニットバスの使い方

美月(みつき)side】 今日から1週間、このお部屋にお泊まり。 麗彪(よしとら)さんと2人きりじゃないけど、みんないっしょでもきっと楽しい。 「こっちがリビングとダイニング、奥にキッチン、寝室がこことあっちの2つ、風呂とトイレも2つ・・・美月、寝室はどっちがいい?」 どっちも、ベッドが2つある。 前のホテルは大きいベッドが1つだったから麗彪さんといっしょに寝られたけど、別べつのベッドで寝なきゃだめなのかな・・・。 麗彪さんといっしょのベッドで寝たいな・・・。 「んー、麗彪さんが好きな方でいいよ。ねえ、あっちのおトイレ、お風呂と同じ部屋にあるよ?どーするの?」 「ユニットバスだな。駿河(するが)が用足しながら、風呂入ってる時任(ときとう)と話すのにいいだろ」 え、ようたしながら・・・って、おトイレしながらって意味だよね? 駿河さん、おトイレしながらお風呂入ってる時任さんとお話しするの・・・? 「美月、違うぞ。鍵をかければいいんだ。風呂とトイレを同時に使う必要ない」 時任さんがユニットバスの使い方を教えてくれた。 えっと・・・たぶん麗彪さんが変な事言ったんだ。 だってそんなの、駿河さんも時任さんも、落ち着かないよね。 「麗彪さん・・・?」 「冗談だ。でも駿河と時任は仲良しだから、別に気にしないだろ?」 「駿河が気にしなくても俺は気にします」 ・・・あ、ちょっと想像しちゃった。 お風呂に入ってる時任さんの前で、おトイレする駿河さん・・・・・・。 「・・・ふふっ、恥ずかし・・・っ、でも、ふふっ、駿河さん平気そおな気がするの、お、おもしろ・・・ふふふっ」 「おーウケてるウケてる」 「美月、俺は気にするし、鍵かけるからな」 どーしよ、笑い止まらない・・・。 そおだよね、時任さん鍵かければ駿河さん入れないもんね。 でも、鍵かけ忘れたら、大変・・・ふふ・・・。 「もおっ、んふふっ、だめっ、くるし・・・くふふっ」 「美月、逆のパターンはどうだ?時任が用足してるとこに駿河が入って来て何食わぬ顔で風呂に入る・・・」 「あははははっ!」 「だから、俺は鍵をかけるって・・・」 鍵かけ忘れておトイレする時任さんと、普通にお風呂に入ってきちゃう駿河さん・・・時任さんどんな顔するんだろ・・・。 麗彪さんてば、ぼくの事笑い死にさせる気なの? 苦しいって言ってるのに。 お腹痛い・・・立ってられなくなっちゃう。 「悪かった、ほらおいで美月。よしよし、ちゃんと息しろ、大丈夫か?」 「んっ、ふぅ・・・だぃ、じょ・・・んふっ・・・まって、ときとーさん・・・ぅふふっ」 「なんで俺の顔見て笑うんだ」 ごめんなさい時任さん、顔がおかしいんじゃないの、ただ・・・。 「んふぅ・・・っ」 ほんとに、なんでこんな笑いが止まらなくなっちゃったんだろ。 さっきまで、まだ少し、あの時の恐かった感じが残ってたのに。 麗彪さんにしがみついて、麗彪さんの首に顔くっつけて、なんにも見ないよおにして・・・。 ちゃんと、息しなきゃ、苦しくてほんとに死んじゃうかも・・・。 すー、はー、すー、はー、すー・・・。 「・・・・・・麗彪さんのにおい、好きぃ」 「落ち着いたみたいだな」 「はぁ・・・駿河が来たら思い出し笑いするんじゃないですか。麗彪さん、責任持って美月を落ち着かせてくださいよ。あと寝室はそっち使ってください景色いいんで」 時任さん、キャリーバッグからお洋服出して、クローゼットにかけてくれてる。 ぼくもお手伝いしなきゃ・・・って思うのに、また笑い出しちゃいそおで、麗彪さんからはなれられない。 ごめんなさい時任さん、お手伝いできなくて、笑ってばっかいて・・・。 反省して、他の荷物出すのお手伝いしたり、とらきちと海ちゃんにお部屋見せてあげたりして、やっと普通にしてられるよおになった。 ・・・なのに。 駿河さんが来たらやっぱり、思い出し笑いしちゃった・・・。 もお、麗彪さん変な事言うのだめだからねっ!

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