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10月7日
【美月 side】
今日、麗彪 さんのおうちに帰る。
お洋服とか、お仕事のパソコンとか書類とか、片桐 さんが持って来てくれたおもちゃとかDVDとか、持って帰るものいっぱいで大変だった。
ぼくはとらきち抱っこして麗彪さんと手をつないで、麗彪さんは海ちゃん抱っこしてぼくと手をつないでたから、大変だったのは駿河 さんと時任 さんと片桐さんだったけど。
「来た時と違う・・・この大きい車って、プール行った時の?」
「ああ。片桐の車だ」
片桐さんが運転で、助手席に時任さん、2列目にぼくと麗彪さん、3列目に駿河さんと荷物・・・。
駿河さん、荷物倒れないよおにおさえてる・・・大変そお・・・。
「麗彪さん」
「ん?」
「そんなもちもちしたら、海ちゃん苦しいよ?」
「あ、悪い、思わず」
麗彪さんてば、海ちゃんの顔ずっともちもちにぎってて・・・顔の形変わっちゃうよ。
でも、ぼくも、抱っこしてるとらきちのお腹もちもちしちゃうの、やめられないんだよね。
前に「とらきちばっかもちってないで俺も触れ」って麗彪さんに言われたけど、麗彪さんのお腹は筋肉すごくてもちもちできないし。
「ただいまぁ」
マンションの、麗彪さんのおうちに、帰って来た。
初めて来た時と同じ、玄関と、カーペット。
いつもの、おうちだ。
「美月、カーペットには慣れたか?」
麗彪さんが、ぼくを見て笑ってる。
あ、麗彪さんも、初めてぼくが来た時の事、覚えてるんだ。
ぼく、カーペット汚しちゃうって思って、歩けなくて。
それから・・・。
「もう大丈夫になったな」
ぼくの頭に、大きくて優しい、麗彪さんの手がのって、わしゃわしゃってなでてくれる。
うん、もお大丈夫になったよ。
頭の上に手が来ても、恐くなくなったよ。
麗彪さんがいれば、なんにも恐くないよ。
嬉しくて、大好きって気持ちがいっぱいになって、ずっとずっといっしょにいたくて・・・。
「ぅぅ・・・だいじょぶ・・・ふぇ・・・よしとらさん・・・だいすきぃ・・・だっこぉ・・・」
「わかったわかった。よしよし、俺も愛してるよ」
お部屋は全部きれいになってて、場所が変わってるのもあったけど、片桐さんがお掃除の時に動かしたって聞いた。
まどかも、きれいにしたって。
黒い首輪じゃなくて、ピンクのリボンがしてあった。
かわいい、よかったね、まどか。
「首輪が苦しかったみたいで、千切れてしまって。リボンにしておきました」
「ありがとうございます片桐さん!リボンの方がかわいくてまどかににあってます!」
「首輪だったか・・・なあ美月、真叶 は改名しないのか?」
「改名って名前変える事でしょ?プレゼントしてくれた新名 さんがまどかって付けてくれたから、変えないよ」
麗彪さん、まどかは片桐さんにきれいにしてもらって、虫もいなくなったんだから、ちゃんと仲よくしてね?
それから、片桐さんは夜お仕事あるからって帰っちゃって、駿河さんは持って帰ってきた荷物の片付け、時任さんはご飯のお買い物に行って、ぼくは麗彪さんとおもちゃをしまった。
「美月、今日で出逢って1年だな」
おもちゃをしまい終わってから、麗彪さんと2人で屋上に来た。
花火見た時に座ったイスに、また2人で座ってお話しする。
「うん。10月7日・・・記念日って言うんだよね。ぼくの1番大切な記念日!」
「これからもずっと、俺の美月でいてくれるか?」
そんなの、決まってる。
麗彪さんにぎゅーって抱き付いて、言った。
「ぼくは全部、今までもこれからも、麗彪さんのものっ!」
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