104 / 300

たまにはみんなで

美月(みつき)side】 なんだろ。 みんな朝から、とょっと変。 麗彪(よしとら)さんはぼくといっしょにPSP、駿河(するが)さんと片桐(かたぎり)さんは3000ピースのジグソーパズル、時任(ときとう)さんとカンナさんはキッチンのお掃除・・・。 「今日、みんなおうちにいるね?」 「ん?そうだな、たまたまみんな休みだったんだ」 そお、なのかな。 みんなお仕事忙しくて、いつもおうちにいてくれる麗彪さん以外は、交代でお休みしてたはずなのに。 片桐さんとカンナさんまでおうちにいて、こんなのんびりしてるなんて、あんまりない事だと思う。 「今日、なにかあるの?」 「・・・なんにもないぞ」 麗彪さん、うそついた。 たぶん、なにかあるんだ。 それは、いい事? それとも悪い事? ぼくには、ないしょの事? 「みんなでお出かけ、しないの?」 「ああ、今日はしない。たまにはみんなで家でのんびりするのもいいだろ」 「・・・そおだね」 「美月ちゃん、今日のおやつ、パンケーキとドーナッツどっちがいい?」 カンナさんが、ピンクのフリフリエプロンしてる。 ぼくもおそろいのもらったから、お料理お手伝いする時にしてるんだ。 「んー・・・パンケーキ!」 「おっけ〜!フルーツと生クリームもりもりにしちゃお〜」 ぼく、そのパンケーキも大好き。 きれいで、かわいくて、おいしくて。 お腹いっぱいになっちゃうけど・・・。 「あ、美月ちょっと待って。親父から電話だ」 ゲームを止めて、麗彪さんがとなりの部屋に行っちゃった。 ぼくは片桐さんのとなりに行って、パズルがどんどんできあがってくのを見る。 「駿河さん、それ、ちゃんとはまってないよ。まちがってるかも・・・」 「あっ、ほんとだ〜。このへん真っ黒だから難しいんですよね〜」 「外側からやっていけばいいじゃないですか。何でそんな中途半端で分かり辛い所からやるんです」 「なんとなく〜」 片桐さんは外側から順番にうめてってるみたい。 きちょうめん、なんだって。 「みーつきっ」 「ひゃあっ」 いつの間にか戻ってきてた麗彪さんが、後ろからがばって抱きついてきた。 そのままぼくを持ち上げて、ソファに座っちゃう。 それで、ぼくは麗彪さんのひざの上に座っちゃう。 「ぱぱ、なんの電話だったの?」 「んー?・・・天気が悪いから、明日までみんな家で遊びなさいってさ」 「天気?・・・くもってるけど、雨ふってないよ?」 「虫が()く天気なんだってよ」 虫の天気? 雪みたいに、虫がふるのかな・・・。 やだな・・・。 「虫が駆除されたら、遊びに行こう」 くじょ? ケータイで調べちゃお。 駆除・・・害になるものを追い払い、また殺して取り除くこと。 ころして・・・。 「か、かわいそおだよ、追い払うだけにして・・・」 「可哀想?・・・あ、そうだな、遠くに追っ払うだけだから、大丈夫だ」 麗彪さんがぼくの頭をわしゃわしゃ撫でてくれる。 よかった、虫は追い払うだけなんだ。 それから、みんなでパンケーキ食べて、モノポリーやったり、トランプしたり、映画見たりした。 片桐さんとカンナさんは、お泊まりするんだって。 ぼくが寝てる間に、窓とかドアから虫が入ってこないよおに、交代で見張るって言ってた。 そんな恐い虫がいるんだ・・・。 どんな虫なんだろ・・・。

ともだちにシェアしよう!