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たまにはみんなで
【美月 side】
なんだろ。
みんな朝から、とょっと変。
麗彪 さんはぼくといっしょにPSP、駿河 さんと片桐 さんは3000ピースのジグソーパズル、時任 さんとカンナさんはキッチンのお掃除・・・。
「今日、みんなおうちにいるね?」
「ん?そうだな、たまたまみんな休みだったんだ」
そお、なのかな。
みんなお仕事忙しくて、いつもおうちにいてくれる麗彪さん以外は、交代でお休みしてたはずなのに。
片桐さんとカンナさんまでおうちにいて、こんなのんびりしてるなんて、あんまりない事だと思う。
「今日、なにかあるの?」
「・・・なんにもないぞ」
麗彪さん、うそついた。
たぶん、なにかあるんだ。
それは、いい事?
それとも悪い事?
ぼくには、ないしょの事?
「みんなでお出かけ、しないの?」
「ああ、今日はしない。たまにはみんなで家でのんびりするのもいいだろ」
「・・・そおだね」
「美月ちゃん、今日のおやつ、パンケーキとドーナッツどっちがいい?」
カンナさんが、ピンクのフリフリエプロンしてる。
ぼくもおそろいのもらったから、お料理お手伝いする時にしてるんだ。
「んー・・・パンケーキ!」
「おっけ〜!フルーツと生クリームもりもりにしちゃお〜」
ぼく、そのパンケーキも大好き。
きれいで、かわいくて、おいしくて。
お腹いっぱいになっちゃうけど・・・。
「あ、美月ちょっと待って。親父から電話だ」
ゲームを止めて、麗彪さんがとなりの部屋に行っちゃった。
ぼくは片桐さんのとなりに行って、パズルがどんどんできあがってくのを見る。
「駿河さん、それ、ちゃんとはまってないよ。まちがってるかも・・・」
「あっ、ほんとだ〜。このへん真っ黒だから難しいんですよね〜」
「外側からやっていけばいいじゃないですか。何でそんな中途半端で分かり辛い所からやるんです」
「なんとなく〜」
片桐さんは外側から順番にうめてってるみたい。
きちょうめん、なんだって。
「みーつきっ」
「ひゃあっ」
いつの間にか戻ってきてた麗彪さんが、後ろからがばって抱きついてきた。
そのままぼくを持ち上げて、ソファに座っちゃう。
それで、ぼくは麗彪さんのひざの上に座っちゃう。
「ぱぱ、なんの電話だったの?」
「んー?・・・天気が悪いから、明日までみんな家で遊びなさいってさ」
「天気?・・・くもってるけど、雨ふってないよ?」
「虫が湧 く天気なんだってよ」
虫の天気?
雪みたいに、虫がふるのかな・・・。
やだな・・・。
「虫が駆除されたら、遊びに行こう」
くじょ?
ケータイで調べちゃお。
駆除・・・害になるものを追い払い、また殺して取り除くこと。
ころして・・・。
「か、かわいそおだよ、追い払うだけにして・・・」
「可哀想?・・・あ、そうだな、遠くに追っ払うだけだから、大丈夫だ」
麗彪さんがぼくの頭をわしゃわしゃ撫でてくれる。
よかった、虫は追い払うだけなんだ。
それから、みんなでパンケーキ食べて、モノポリーやったり、トランプしたり、映画見たりした。
片桐さんとカンナさんは、お泊まりするんだって。
ぼくが寝てる間に、窓とかドアから虫が入ってこないよおに、交代で見張るって言ってた。
そんな恐い虫がいるんだ・・・。
どんな虫なんだろ・・・。
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