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ぷに。

美月(みつき)side】 「おはよおご・・・ざい、ます?」 麗彪(よしとら)さんといっしょに寝て、朝起きてからリビングに行ってごあいさつしたんだけど。 「片桐(かたぎり)さんが寝てる・・・」 ソファで片桐さんが寝てた。 寝てるの初めて見た。 起こしたら、かわいそう、かな。 でも・・・なんでだろ・・・だめだってわかってるのに・・・。 ぷに。 「・・・んー・・・ん?」 「ぁ、あ、ご、ごめ、ごめん、なさいっ」 ほっぺたさわったら、起こしちゃった・・・。 「だいじょーぶですよぉ・・・起きますねぇ・・・」 「ぁ、まだ、寝てて、だいじょぶですよぉ」 まだ眠そお。 ぼく、なんでさわっちゃったんだろ。 起きちゃうかもって思ってたのに。 「美月、そんなのにかまってないで、俺をかまえ」 麗彪さんてば、片桐さんの事、そんなのって言った・・・。 「美月ちゃーん、おはよー。朝ごはん食べましょっ」 「はあーい」 カンナさんが朝ごはん作ってくれてた。 ご飯とお味噌汁と、焼き魚と卵焼きとおつけもの。 片桐さんはまた寝ちゃったから、ぼくと、麗彪さんと、カンナさんで食べ始める。 あれ、駿河(するが)さんと時任(ときとう)さんは? 「んむ?」 「ん?ああ、あの2人ならゴミ出しに行ったんじゃないか?」 ゴミ出し? 2人で? そんなにいっぱい、ゴミあったの? 「カンナさんの卵焼き、おいしい。ぼくも上手になりたい」 「今度教えてあげるわね〜」 食べ終わって、お皿洗いのお手伝いしてたら、駿河さんが帰ってきた。 どこまでゴミ捨てに行ってたのかな。 あれ、時任さんは? 「あ、和食だ〜。いただきま〜す」 「駿河さん、時任さんは?おいて来ちゃったの?」 「んぐ?・・・んん、ちょっと片付け物があって・・・そのうち帰ってきますよ〜」 やっぱりゴミ、いっぱいだったのかな。 ぼくもお手伝いすればよかった。 「それじゃ、あたしはそろそろ帰るわね〜。美月ちゃんまたねっ」 「うん、またね!」 カンナさんは、自分のお部屋に帰った。 麗彪さんはダイニングテーブルで、駿河さんとお仕事。 ぼくはじゃましちゃわないよおに、リビングに・・・。 「ふふ、寝てる」 片桐さんの寝顔を観察しちゃおう。 いつもぴしっとしてる前髪、今はおろしてる。 お風呂の後、ちゃんと乾かさなかったのかな。 ちょっと寝ぐせついてる。 撫でても、ぴよってなって、なおらない。 片桐さんも、寝ぐせつくんだ。 「触られても起きないなんて珍しいな。美月に対する警戒心だけオフってんのか?」 いつの間にか、ぼくの後ろに来てた麗彪さんが言った。 「さっきほっぺたさわった時は起きちゃったよ?たぶん、寝ぐせはさわっても起きないんだよ」 「触った時、手ぇ掴まれなかったか?」 「ん?掴まれなかったよ?」 麗彪さんが、ふーんって言って、片桐さんのほっぺたを指でぷにってした。 そしたら、しゅばって、すごい速さで、片桐さんが麗彪さんの手を掴んだ。 び、びっくりした・・・。 「俺は掴むのかよ」 「すいません。美月くんじゃなかったんで、つい」 片桐さん、ほっぺたぷにってしたの、ぼくじゃないってわかったの? なんで? ぼくも練習したら、誰にほっぺたぷにってされたか、わかるよおになれるかな。

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