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学校
【美月 side】
「おるすばん・・・?」
おうちに帰って来てから1ヶ月くらいたった。
今日から麗彪 さんも、お仕事に行くんだって。
「お洋服・・・」
「わかってる」
麗彪さんが、スウェットを脱いでわたしてくれた。
ぼくは着てたフリースを脱いでから、麗彪さんのスウェットを着る。
やっぱりぶかぶか。
「スーツ着るの?」
「ああ。どれ着て欲しい?」
麗彪さんがスーツ着るの、久しぶり。
ずっとぼくとおうちにいてくれたから。
スーツとネクタイを選んで、麗彪さんが着替えるのを見る。
・・・やっぱりかっこいい。
「嬉しそうだな。俺がいなくなるのに」
「かっこいいんだもん。すぐ帰ってきて!」
「ははっ。わかった、頑張る」
スーツ着てかっこいい麗彪さんが、ぼくのおでこにちゅってしてくれた。
麗彪さんは駿河 さんとお仕事に行って、ぼくは時任 さんと片桐 さんの3人でお留守番。
麗彪さんと駿河さんをお見送りして、片桐さんに見てもらいながら勉強をする。
後で、駿河さんが作ってくれたテストやるの。
「美月くんは本当に勉強熱心ですね」
「勉強おもしろいです!」
時任さんがココアをいれてきてくれた。
時任さんもいっしょにココア飲んで、片桐さんはコーヒー。
「美月は・・・学校行きたいか?」
「学校?」
時任さんに聞かれて思い出した。
初めて麗彪さんのおうちに来て、ココア飲ませてもらった時、学校は行ってたのかって聞かれた事。
ぼく、学校は、行った事ない。
学校・・・学生、生徒、児童を集め、一定の方式によって教師が継続的に教育を与える施設って、辞書に書いてあった。
本当は、小学校と中学校に行かなきゃいけなかったんだって。
義務教育って言って、みんな行くんだって。
「ぇと・・・勉強はおうちでしたい・・・みんなに教えてもらうの楽しいから・・・」
「そうか」
時任さん、ほっとした顔、してる?
学校・・・行った方がいいのかなって思ったけど、行かなくてもいいの?
学校行って、もっともっと勉強しなきゃいけないんじゃないの?
学校行かなきゃ、麗彪さんの役に立てるよおになれないんじゃ・・・。
「今日用意されているテストって・・・大学入試問題ですよね。美月くんの学力は充分だと思いますし、わざわざ学校なんて行かせなくてもいいのでは?」
「美月本人が行きたいなら、麗彪さんはどうにかして行かせようとしますよ」
ぼくが、行きたいなら。
じゃあ・・・行きたくないって、言ったら・・・。
「ぃ・・・行きたく、ないって・・・言ったら、だめ・・・ですか・・・?」
「問題ない。学校なんて危険しかない」
「正直言うと行かせたくないですからね。美月くんが行きたくないと言ってくれたら、麗彪さんも安心しますよ」
そおなんだ。
よかった・・・。
「でも、勉強はおうちでします!麗彪さんの役に立つ大人になりたいですっ!」
その後、時任さんが作ってくれたお昼ご飯を食べてから、テストをやった。
全部まるにならなくて、ちょっとがっかりしたけど、また次も頑張ろって思った。
麗彪さん、早く帰ってこないかな。
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