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はーと
【美月 side】
今日はぱぱのお家にお泊まり。
まんなかバースデーの日から、ずっと来てなかった。
麗彪 さんたちが乗った車が門の外に出てって、見えなくなるまでお見送りしてから、ぱぱといっしょにお家に入る。
「「「お帰りなさいお嬢!」」」
「ただいまぁ!」
みんながお帰りって言ってくれるの、嬉しい。
声大きいから、ちょっとびっくりするけど。
・・・あれ?
「ぱぱ、新名 さんは?」
「ああ、前にみっちゃん連れて行こうとして泣かせたろ?反省中だ」
反省中?
どおして、新名さんが反省しなきゃいけないの?
新名さんは、コンビニデートしたかっただけなのに。
ぼく、麗彪さんがいなくて、新名さんとお出かけしていいか分からなくて、どおしよってなって、それで・・・。
「ぱぱ、新名さんは悪くないよ。ぼくが、ちゃんと言えなくて、勝手に泣いちゃっただけだから。だから、新名さんの事、怒らないでっ」
「みっちゃんは優しいなあ。大丈夫、ちょっとお使いに行ってるだけだ。昼には帰ってくるから、新名も一緒に昼飯食べてもいいかい?」
「うんっ!」
よかった、ぱぱは新名さんの事、怒ってないみたい。
麗彪さんはすごく怒ってて、新名さんと2人きりになるなって、車の中で何回も言われた。
「とらきちだけじゃなく、そのキツネも持って来たんだな」
「うん。ぱぱに海ちゃん見せてあげよおと思って、まどかだけ置いてくのかわいそうだもん」
「・・・真叶 って、新名が名前付けたのかな?」
「そおだよ。この子がカワウソの海ちゃん。麗彪さんと水族館デートに行った時に買ってもらったの」
「そーか。お、もちもちだな」
ぱぱ、麗彪さんと同じ事してる・・・。
海ちゃんの顔の形が変わっちゃうよ。
「とらきちのお腹ももちもちだよ?まどかはふわふわ」
それから、とらきちたちを麗彪さんのお部屋に連れてって、お庭で桜鬼 たちとボールで遊んだ。
ぱぱにお昼ご飯だよって呼ばれたから、みんなでご飯食べる広いお部屋に行ったら・・・。
「お嬢・・・」
「新名さん!」
あれ、新名さん、なんだか元気ない?
「だいじょぶ?ぱぱに怒られた?ぼくのせい・・・」
「お嬢は何にも悪くありませんよ。親父にも怒られてません、大丈夫です。ただ・・・お嬢を泣かせてしまったので、嫌われてしまったかなって・・・」
「嫌いになんてなってないよ!今日ね、まどかも連れて来たんだよ。とらきちと海ちゃんも。後で海ちゃんも見せてあげるね」
「はいっ!」
新名さんが、いつもみたいににっこり笑ってくれた。
よかった、ちょっと元気になったかな。
お昼ご飯は、新名さんが作ってくれたオムライスだった。
ぼくのには、ケチャップではーと、かいてくれたんだって。
はーとは、大好きって意味だよって、ぱぱが教えてくれた。
ぼくも今度、麗彪さんのオムライスにはーと、かいてあげよ。
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