112 / 300

はーと

美月(みつき)side】 今日はぱぱのお家にお泊まり。 まんなかバースデーの日から、ずっと来てなかった。 麗彪(よしとら)さんたちが乗った車が門の外に出てって、見えなくなるまでお見送りしてから、ぱぱといっしょにお家に入る。 「「「お帰りなさいお嬢!」」」 「ただいまぁ!」 みんながお帰りって言ってくれるの、嬉しい。 声大きいから、ちょっとびっくりするけど。 ・・・あれ? 「ぱぱ、新名(にいな)さんは?」 「ああ、前にみっちゃん連れて行こうとして泣かせたろ?反省中だ」 反省中? どおして、新名さんが反省しなきゃいけないの? 新名さんは、コンビニデートしたかっただけなのに。 ぼく、麗彪さんがいなくて、新名さんとお出かけしていいか分からなくて、どおしよってなって、それで・・・。 「ぱぱ、新名さんは悪くないよ。ぼくが、ちゃんと言えなくて、勝手に泣いちゃっただけだから。だから、新名さんの事、怒らないでっ」 「みっちゃんは優しいなあ。大丈夫、ちょっとお使いに行ってるだけだ。昼には帰ってくるから、新名も一緒に昼飯食べてもいいかい?」 「うんっ!」 よかった、ぱぱは新名さんの事、怒ってないみたい。 麗彪さんはすごく怒ってて、新名さんと2人きりになるなって、車の中で何回も言われた。 「とらきちだけじゃなく、そのキツネも持って来たんだな」 「うん。ぱぱに海ちゃん見せてあげよおと思って、まどかだけ置いてくのかわいそうだもん」 「・・・真叶(まどか)って、新名が名前付けたのかな?」 「そおだよ。この子がカワウソの海ちゃん。麗彪さんと水族館デートに行った時に買ってもらったの」 「そーか。お、もちもちだな」 ぱぱ、麗彪さんと同じ事してる・・・。 海ちゃんの顔の形が変わっちゃうよ。 「とらきちのお腹ももちもちだよ?まどかはふわふわ」 それから、とらきちたちを麗彪さんのお部屋に連れてって、お庭で桜鬼(おうき)たちとボールで遊んだ。 ぱぱにお昼ご飯だよって呼ばれたから、みんなでご飯食べる広いお部屋に行ったら・・・。 「お嬢・・・」 「新名さん!」 あれ、新名さん、なんだか元気ない? 「だいじょぶ?ぱぱに怒られた?ぼくのせい・・・」 「お嬢は何にも悪くありませんよ。親父にも怒られてません、大丈夫です。ただ・・・お嬢を泣かせてしまったので、嫌われてしまったかなって・・・」 「嫌いになんてなってないよ!今日ね、まどかも連れて来たんだよ。とらきちと海ちゃんも。後で海ちゃんも見せてあげるね」 「はいっ!」 新名さんが、いつもみたいににっこり笑ってくれた。 よかった、ちょっと元気になったかな。 お昼ご飯は、新名さんが作ってくれたオムライスだった。 ぼくのには、ケチャップではーと、かいてくれたんだって。 はーとは、大好きって意味だよって、ぱぱが教えてくれた。 ぼくも今度、麗彪さんのオムライスにはーと、かいてあげよ。

ともだちにシェアしよう!