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早起きとたばこ
【美月 side】
麗彪 さんが帰ってくるの楽しみで、すごく早く起きちゃった。
時計見たら5時32分で、静かにお部屋出て、顔洗って歯をみがいて、お部屋に戻って着がえる。
麗彪さんのお部屋には、ぼくのお洋服もあって、駿河 さんが買ってくれたピンクベージュのカーゴパンツと、背中にウサギがいる白い長袖のTシャツを着てから、麗彪さんの黒いパーカーを着た。
昨日着てきたのは、お洗濯に出しちゃったから、このパーカーは別の。
麗彪さんのにおい・・・しない・・・。
「みっちゃん、おはよう。早起きだね」
「おはよ、ぱぱ!」
「ご機嫌だねえ」
着がえるの時間かかっちゃって、もお6時20分くらい。
ぱぱは、新聞読んでたんだけど、口からふーって煙出してる。
なに、してるの?
「その煙、なに?」
「しまった、見られたか。煙草 だよ。みっちゃんの前では喫 うなって麗彪に言われてたんだがなあ」
「たばこ?」
たばこって、なに?
口から煙出す、魔法?
「これに火をつけて、反対側から煙を喫うんだ」
「ふうん・・・なんで?」
「何でだろうねえ」
ぱぱは笑って、たばこをしまっちゃった。
ぼくも、煙ふーってやってみたかったのに・・・。
「今見た事は麗彪には内緒にしてくれるかい?パパ、怒られちゃうから」
「ん・・・麗彪さんに、ないしょは・・・したくなぃ・・・」
「みっちゃん、真面目な子だなあ・・・」
どおしよ、ぼく、麗彪さんにないしょはしたくない。
でも、言ったらぱぱが麗彪さんに怒られちゃう・・・。
どおしよ・・・。
「ああ、大丈夫だよ、ちゃんとパパから正直に言って謝るから。ごめんな、みっちゃん」
「ううん、ぼくも、ごめんなさい。ぼくもいっしょに麗彪さんにあやまるから!」
「優しいね。麗彪には勿体ねぇな」
ぱぱが頭を撫でてくれる。
ぼく、ぱぱに撫でてもらうのも、好き。
「それで、今日は何でこんなに早起きなんだい?」
「あのね、麗彪さんが早く帰ってくるから、お昼は回転寿司に連れてってくれるって。楽しみで早起きしちゃった!」
「はは、そーかそーか」
朝ご飯を食べて、とらきちたちをお部屋から玄関に連れてった。
麗彪さんが帰ってきたら、すぐ出られるよおに。
それから、桜鬼 とお庭で遊んで、ぱぱと新名 さんとゲームしたり、おしゃべりしてたら、ケータイに電話がきた。
「麗彪さん!ついた?」
『もうすぐ着く。ごめん、腹減ったろ?』
「ううん、大丈夫!門のとこで待ってていい?」
『ああ。ちゃんと上着着てこいよ?』
「麗彪さんのパーカー着てるよ!」
ぱぱと新名さんといっしょに玄関に行って、とらきちたちを抱っこして、お見送りに来てくれたみんなにごあいさつする。
「いってきまぁす!」
「「「いってらっしゃいお嬢!お気をつけて!」」」
ぱぱも門まで来てくれるって。
でも、新名さんは玄関から出なかった。
「お嬢、今度・・・麗彪さんがいいって言ってくれたら、一緒にお出かけしてくれますか?」
「うん!まどかもいっしょにね!」
新名さん、にこーって笑って、いっぱい手をふってくれた。
にこにこしてる新名さん、やっぱりキツネさんに似てる。
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