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招集
【麗彪 side】
美月 を寝かしつけ、起こさない様にそっと寝室を出てリビングへ向かう。
今年もまた、この案件には手こずりそうだと思ったから、早めに招集をかけたんだが・・・。
「まだ本人からの聞き取りはしていないが、たぶんなかなか口を割らないだろうな。何かいい案はあるか?」
駿河 がすっと手を挙げた。
「今年も恐らく、プレゼントは麗彪さんを所望されるかと」
「そんな気はしてる。それ以外で」
次は片桐 が手を挙げる。
「昨年は海が目的でスルーしましたが、イルミネーションを見せてあげるのはどうですか?」
「そうだな。でも人が多いだろ」
ばっと勢い良く手を挙げる新名 。
「出かけるなら雅彪 さんも一緒に行くと仰ってましたので、警護に関しては心配いりません」
「親父まで来んのかよ・・・」
「どこのイルミネーションにするのぉ?せっかくだし、遊園地とか行って皆んなで遊ぶのはどーお?」
カンナの言葉で気付いた。
そういや、遊園地はまだ連れてってないな。
行った事もないだろうし、新名やゴミ虫どもの件も落ち着いたし。
・・・美月が絶叫系に乗れるかは不安だが。
「悪くない」
「そう言えば・・・この前テレビで例の夢の国の特集やってて、美月が見てました。真剣に」
時任 の言葉に全員がはっとする。
夢の国って、あそこか。
「どっちだ、ランドか、シーか」
「ランドです」
「どうせなら両方行きましょう。ホテルとチケット確保します」
「あたしどっちも行った事あるから案内まかせて」
「雅彪さんにも連絡しときます」
「クリスマスシーズン中は混雑必須でしょうけど、少し早めの平日なら多少ましかと」
予想外にプランが固まった。
ああいう所なら美月はきっと喜ぶ。
人が多かろうが、こっちも美月の周りをしっかり固めていれば護りは問題ないだろう。
「・・・やべぇな、楽しみだ」
「麗彪さん、夢の国に行ってみたかったんですか?」
「美月のリアクションが楽しみなんだよ」
「あ、そっち。ですよね〜」
後の手配は各々に任せ、俺は寝室へ戻った。
眠っていたはずの美月が起き上がって、目元を手で擦っている。
「美月、起きたのか」
「んー・・・どこぉ・・・」
「ここにいるよ。ほら、寝よう」
「んーぅー・・・」
抱き寄せて、腕の中に閉じ込めて、横になる。
俺の服をきゅっと掴んで眠る美月。
さっきこれされてたら、抜け出すのに脱がなきゃならなかったな。
この、寝る時に服を掴む癖・・・治らないままでいて欲しい。
ずっと、眠っている時も、俺を求めていればいい。
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