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初めてのおつかい

美月(みつき)side】 「あけまして、おめでとうございますっ!」 「おめでとう。みっちゃん、お年玉あげよう」 「おとしだま?」 今日は元旦。 麗彪(よしとら)さんの実家に、振袖を着て新年のご挨拶に来た。 麗彪さんと並んで座って、ぱぱにご挨拶したら、ぱぱがお年玉って買いてある、きらきらの飾りが付いた封筒をくれた。 「開けていい?」 「ああ、いいよ」 封筒を開けたら、誰かの顔が描いてある紙がいっぱい入ってる。 これ、なに? 「あー・・・そっか、美月は金見るのも初めてか」 「かね・・・お金?これが?」 本物、初めて見た。 全部同じお金みたい・・・壱万円って書いてある・・・。 「なんだい、みっちゃんは買い物した事ないのか。じゃあ、初めてのおつかいに行ってもらおうかな」 「初めての、おつかい?」 「そのお金で、近所の店で買い物をして来てくれるかい?」 「うんっ!行くっ!」 お買い物はいつも、駿河(するが)さんがお金払ってたみたいだけど、紙のお金出してるのは見た事なかった。 カードで払ってるんだって。 どおしよ、どきどきする・・・! 「よし、じゃあ地図を持って行きな。ここがウチだ。この和菓子屋で今日のおやつと、こっちの酒屋で日本酒を買ってきてくれ。買う物と数はここにメモしてあるからな」 「はぁい!」 「荷物持ちとして時任(ときとう)片桐(かたぎり)を連れて行きな」 「は?なんで俺が一緒じゃねぇんだよ?」 麗彪さん、いっしょに行きたかったみたい。 でも、ぱぱが「お前は手出しするからだめだ」って。 「俺もお供にしてくださいっ!」 新名(にいな)さんも、ぱぱに「お前もだめだ」って。 2人とも、しょんぼりしちゃった。 そんなにお買い物行きたかったのかな。 「じゃあ、行ってきまぁす!」 「おう、行っといで」 「気を付けて行ってこいよ。時任、片桐、わかってんな?」 「お嬢、行ってらっしゃい。変なヤツが出たら時任と片桐を盾にしてくださいね!」 「「「お嬢、行ってらっしゃい!」」」 みんなに見送られて、初めてのおつかいに出発! 地図を見ながら、時任さんと片桐さんと歩く。 「えっと・・・あそこを右、かな」 「ああ」 「あ、お団子屋さんだ」 「美月くんが好きなみたらし団子もありますよ」 「ねえ、公園があるっ」 「明日遊びに来るか?」 「・・・あれ、通り過ぎちゃった?」 「そうみたいですね」 ちょっと戻ったところに、地図に書いてある和菓子屋さんがあった。 えっと、買う物は・・・。 「いらっしゃいまし、お嬢様」 「あ、こんにちは。あの、上生菓子のお重をください」 「はい、ありがとうございます。壱万円頂戴致します」 駿河さんに持たせてもらったお財布を開けて、お金を払う。 代わりに、時任さんが買った物を受け取ってくれた。 綺麗な布で包んである。 「次は酒屋さん」 「どっちだ?」 「えっと・・・あっち!」 「美月くん、地図の向きが逆かもしれませんよ」 その後も、ちょっと道間違っちゃったりしたけど、ちゃんとお酒も買えた。 お酒は片桐さんが持ってくれた。 お酒買った時は、おつりももらって、ぼくちゃんとお買い物できて、嬉しかったな。

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