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反省中です
【美月 side】
ぼくは今、反省中。
雪で遊びたくて、ひとりで勝手に玄関から外に出たから。
麗彪 さんはお仕事中だったのに、心配して帰ってきてくれた。
駿河 さんと時任 さんは、麗彪さんいなくなってお仕事大変になっちゃった。
おやつの時間になって、片桐 さんが来てくれて、エレベーターに置いてきちゃったとらきちたちを連れて来てくれて・・・。
麗彪さんは、またお仕事に行った。
「美月くん、反省中でも、おやつは食べていいんですよ」
「・・・でも」
「麗彪さんも怒ってなかったですし、それもちゃんとしてるんですから」
片桐さんが、それって言ったのは、ぼくが首からさげてる小さいホワイトボード。
麗彪さんが「反省中です」って書いて、ぼくの首にかけてった。
これ・・・見た事ある・・・。
猫がやってるの・・・。
「・・・これ、思ったより、恥ずかしい・・・猫も、こんな気持ち、だったのかな」
「まあ・・・猫はそこまで屈辱を感じてはいなかったでしょうけど・・・」
くつじょく・・・屈伏させられて恥を受けること、服従させられている恥・・・。
・・・確かに、屈辱かも。
でも、悪いのぼくだし。
屈辱だとか、思ってちゃいけない。
「屈辱・・・では、ありません・・・反省してます・・・」
「み・・・美月くん・・・」
結局、ぼくはおやつのエクレアを食べてしまいました・・・。
ぼく、これでちゃんと反省出来てるのかな・・・。
「ただいま帰りました〜・・・って、美月くん、それ、まさか、麗彪さんに・・・?」
「はい。駿河さん、迷惑かけてごめんなさい」
駿河さんだけ、先に帰ってきたみたい。
麗彪さんは、まだお仕事かな。
「雪降って来ちゃったら、外出たくなっちゃうよね〜。でも、下行かないで屋上に行ったのは偉かったですよ。下に行ってエレベーター降りちゃうと、カードキーないとエレベーター乗れなくなっちゃいますから〜」
・・・そ、そおだった。
1階からエレベーター乗る時は、カードキーないとエレベーターのボタン押せないんだった。
おうち、入れなくなっちゃうとこだった・・・。
「あと、外行く時は必ずスマホは持ち歩いてくださいね。俺たちと一緒の時でも」
「はい」
もお、ひとりで外に出たりしない。
雪が降ってきても、絶対。
「美月くん、しょんぼりしちゃって・・・可哀想なのに可愛いですね〜」
「おやつも、なかなか食べてくれなかったんですよ。最初の一口は無理やり口に押し込みました」
「あらら〜」
エクレア・・・おいしかった・・・。
反省中なのに、おいしいの食べてて、いいの?
「・・・あ、雪やみましたね〜」
雪、やんじゃった・・・。
でも、反省中だから、もお遊べない・・・。
「美月くん、コート着ましょう。下も裏起毛のズボン穿いて」
「ほらほら〜屋上に最初の足跡付けに行きましょ〜」
「・・・ふぇ?」
ぼく、反省中なのに?
遊んじゃだめなんじゃ・・・。
「あの、ぼく、反省ちゅ・・・」
「反省中でも遊んでいいんですよ」
「そうですよ〜。麗彪さんも、雪がやんだら屋上で遊ばせていいって、俺に言ってましたから〜」
麗彪さん、いいの?
それで駿河さんだけ、先に帰ってきてくれたの?
やっぱり麗彪さん、優しい。
大好き・・・。
それから、3人で屋上に行って足跡付けて、小さい雪だるま作って。
ちゃんと「反省中です」を首にかけたまま、遊んだ。
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