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⭐︎番外編⭐︎カンナと美月

【カンナside】 「ねえちょっと、なんであたしだけ美月(みつき)ちゃんと2人きりで遊ぶ時間がもらえないのっ!?」 最近、美月ちゃんが麗彪(よしとら)くん以外とデートしてるって聞いた。 あたしはまだなのに。 「(うるせ)ぇ・・・お前が忙しいからだろ」 「あんたらがいらん怪我ばかりして来るからでしょーがっ!無傷で()って来いよっ!」 「男、出てるぞ」 おっと、いけない・・・って、あたしは女装家だけど別に女になりたいわけじゃないわよ? 服装に合わせて話し方や仕草を変えてるだけで、女装してなきゃ普通に男やってんだからね。 「あたしだって美月ちゃんとデートしたいっ」 「よく2人で家に居るじゃねぇか。お家デートってやつだろ」 「違うわよ健康診断よっ!」 確かに、美月ちゃんの健康診断も兼ねて一緒にお留守番したりするけど、そーじゃない。 デートがしたい。 雅彪(まさとら)さんに自慢されてからずっと悔しくて、休みが取れたから直談判しに来たんだから! 「今日はあたし、美月ちゃんとパフェデートするから!着替えてくるわっ」 「は?・・・おい、まさか」 麗彪くんが何かを察したみたいだけど知ったこっちゃない。 抜糸するためにあたしの部屋に来ていた麗彪くんを置いて、クローゼットに行き着替えてから、改めて麗彪くんを連れて美月ちゃんの元へ。 「美月ちゃん!」 「ふぇ?・・・えと、こ、こんにちは・・・」 時任(ときとう)くんとお留守番していた美月ちゃんが、玄関まで迎えに来てくれた。 女装も化粧もカツラもしてないから、俺がカンナだってわからないみたいだ。 「あのな、美月、こいつは・・・」 「俺、環流(めぐる)。カンナのお兄ちゃん」 「えっ?カンナさんのお兄ちゃん?」 環流は俺の本名だ。 美月ちゃんの混乱を防ぐためにも、環流()カンナ(あたし)は別人にしといた方がいいだろ。 「めぐるさん・・・えっと、ぼく、美月です。よろしくお願いします」 「よろしくね、美月ちゃん。カンナから色々聞いてるよ。俺とも仲良くしてね!」 「はいっ」 俺の隣で麗彪くんがため息をついてるけど、関係ない。 とにかく、今日は美月ちゃんとパフェデートに行くんだっ! 「美月、環流が美月と2人でパフェ食いに行きたいって言ってるけど、どうする?」 「めぐるさんと?」 麗彪くんに言われ、俺の顔をちらっと見る美月ちゃん。 カンナのお兄ちゃんとは言え、美月ちゃんにとっては初対面の男って事になるし、ダメかな・・・。 「あの・・・めぐるさん、いいんですか?」 「えっ?うん、もちろん!俺ね、美月ちゃんと一緒にパフェデートしたくて、麗彪くんにお願いしたんだっ!俺と一緒に、おっきい苺パフェ食べよう?」 「はいっ!いっしょにパフェ食べましょ!」 あ"ーっ! 可愛いっ!! 初対面の環流()とデートしてくれるなんて・・・。 カンナ(あたし)のお兄ちゃんだから信じてくれてるって事かな。 嬉しい・・・っ! 「おいカン・・・環流、夕飯までには帰って来いよ」 「任せてよ!あっ、なんなら美月ちゃんと夕飯の買い物して来るから、時任くん後で買い物リストメールしといて!」 「めぐるさん、お買い物もいっしょにしましょ!ぼく、お財布持ってますよ!」 お正月に雅彪さんから貰ったお年玉かな。 俺のカードで買い物しちゃおうと思ったけど・・・たぶんお金を使いたいんだろうから、ここは美月ちゃんに支払いを任せた方がいいのかな・・・。 「環流、夕飯の買い物は美月に払ってもらえ」 「わかった。じゃ、美月ちゃん、行こ?」 ダメ元のつもりで、手を差し出してみる。 カンナ(あたし)ならまだしも、環流()と手は繋いでくれないかもしれな・・・。 「はぁい!」 元気良くお返事して、美月ちゃんが俺の手を取ってくれた。 うわーっ! めっちゃ嬉しいーっ!! ・・・よし、後で美月ちゃんと手を繋いでるとこ、いっぱい写真に撮って雅彪さんに送ろっと。

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