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スケートデート

麗彪(よしとら)side】 美月(みつき)とスケートデートに来た。 スケートなんて何年ぶりだよ・・・。 たぶん滑れるはずだが、美月にカッコ悪いとこは絶対に見せたくねぇ。 「広いねぇ」 「そうだな。ほら、ここ座れ。靴履かせてやる。手袋は自分で出来るか?」 「ふふっ、出来るよ」 リンクサイドのベンチに美月を座らせて、レンタルしたスケートシューズを履かせる。 ・・・運動音痴の美月が、この靴で立てるのか心配だな。 「こ・・・この靴で、滑るの?」 「ああ」 「あそこまでは、どおやって行くの?」 リンクを指差し聞いてくる。 本人もこの靴で歩けると思ってないらしい。 「抱っこしてってやる」 「麗彪さんはどおするの?」 「この靴で歩くぞ」 「ふぇ・・・」 俺が靴を履いて立ち上がると、美月が信じられないといった表情で見上げてくる。 その顔も可愛いな。 「ぼっ、ぼくもやるっ!」 「いいけど・・・ほら、掴まれ」 美月の両手を取り、ベンチから立ち上がらせる。 立てた事が本人も意外だったのか、小首を(かし)げて不思議そうに足元を見ている。 ほんと可愛いな。 「ぼく、すごい・・・」 「ふっ・・・ん"ん、ああ、凄いな。ちょっと歩いてみるか?」 「うんっ!」 自分を褒める美月に思わず笑ってしまい誤魔化したが、気付かれなかったようだ。 手を繋いだまま、ゆっくりリンクの入り口まで歩く。 美月、歩けてんな。 もしかしたら普通に滑れるかも・・・。 「ひ・・・ひぃ・・・」 美月はリンクに下りた途端、手足がぴーんと伸びて固まってしまった。 風呂に入れられそうになった猫みたいだな。 「ほら美月、俺が手ぇ掴んでるから、ゆっくり歩くみたいにしてみな?」 「ぅ・・・うん・・・ひぁっ・・・すっ・・・すべるぅ・・・っ」 「ははっ!どんだけ可愛いんだよっ」 それから、ゆっくり練習して少しずつ滑れる・・・いや、氷の上をなんとか歩いてるって感じにはなってきた。 少なくとも手足ぴーんは治ったな。 「ねえ、麗彪さん」 「ん?」 「どおして後ろ向きで滑れるの?麗彪さんはなんでも出来ちゃうから?恐くない?転ばない?」 質問攻めだな。 別に、なんでも出来る訳じゃねぇけど・・・。 「美月から目を離す方が恐い。まあ、転ばないな。美月を護るためならなんだって出来る」 「もおっ!麗彪さんかっこいいっ!」 なんでちょっと怒ってんだよ可愛いな。 そんな美月をそろそろ休憩させようと思い、リンクの出入り口に目をやると、少し遠い。 「なあ美月、出口まで抱っこして滑ろうか?」 「ふぇ?ほんと?いいの?」 ちょっとほっとした顔をした美月を抱き上げ、折角だから少しスピード出して滑ってみる。 恐がったらスピード落として・・・。 「すごーいっ!麗彪さんすごいっ!速いっ!」 喜んでんな。 出口を通り過ぎ、結局そのままもう2周してからリンクを出た。

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