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お返事
【美月 side】
「ねえねえ麗彪 さん」
「んー・・・?」
「遊ぼ」
「んー・・・」
「ふふっ」
昨日の夜、時任 さんと新名 さんと遅くまで仕事して帰ってきて、すっごく疲れてる麗彪さん。
ベッドでぐっすり寝てるのに、ぼくが話しかけるとんーってお返事してくれる。
嬉しくて、起こしたくないけど話しかけちゃう。
「麗彪さん」
「んー・・・?」
「ふふ・・・大好き」
「んー・・・俺も・・・」
あ、ちゃんと聞いてくれてたんだ。
んーだけでもいいのに、俺もって言ってくれて嬉しい。
麗彪さん大好きって気持ちが、もっと大きくなる。
「寝てていいからね」
「んー・・・」
「お返事してくれてありがと」
「んー・・・」
「ぼく、お出かけしてく・・・」
「だめ」
「あはっ、じゃあここにいる」
「んー・・・」
麗彪さん、寝てるふりしてるのかな。
だめって言うの速かったもん。
ベッドの上に座って、麗彪さんの髪に触る。
なでなで・・・いい子いい子・・・。
ほっぺた触ったら、片桐 さんが麗彪さんにしたみたいに、ぱしって手を掴まれちゃうかな。
触っちゃおうかな。
でも起こしちゃうのだめだよね。
麗彪さんは疲れてるから、寝かせてあげないと。
「ねえ麗彪さん」
「んー・・・」
「寝てていいから、ぎゅってして」
「ん」
んーってお返事してくれるだけだと思ったのに、麗彪さんの手が伸びてきて、ぼくを引っ張った。
引っ張られて、ぼく麗彪さんの上に寝ちゃって、そのまま麗彪さんの腕に捕まっちゃう。
「麗彪さん、目、開けないでぼくの事捕まえた」
「んー・・・」
やっぱり起きてる?
ほんとは目、開いてた?
麗彪さんの顔をのぞいても、ちゃんと目を閉じてるみたいだけど・・・。
・・・眠っててもかっこいい。
かっこよくて、強くて、優しくて、なんでもできちゃう麗彪さん。
そんな麗彪さんにぎゅってしてもらえるの、嬉しい。
最近ね、麗彪さんとお出かけする時、周りの人たちに、かっこいい麗彪さんの事、自慢したいって思うんだよ。
ぼくのだよって、みんなに言いたくなっちゃうんだ。
「麗彪さんは、ぼくのだよ」
「ああ。美月は俺のだ」
「もお、寝ててよぉ」
やっぱり寝たふりしてたの?
思ってたこと言っただけなのに、恥ずかしくなってきた・・・。
でも、麗彪さんに「美月は俺の」って言ってもらえて嬉しい・・・。
「今日はずっと寝てるの?」
「んー・・・」
「寝たふりなの?」
「んー・・・」
「ふふっ、どっちなんだろ」
どっちでもいいや。
ぎゅってしてくれて、お返事してくれるし。
ぼくもいっしょに、寝たふりしてよ。
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