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いっぱい幸せ
【美月 side】
あれ・・・?
どおして?
どおしていないの?
「麗彪 さん?」
今日はぱぱのお家 にみんなでお泊まりしてる。
寝る時は、麗彪さんといっしょにお布団に入ってたのに、どおしてぼく、ひとりぼっちなの?
「麗彪さんっ」
お返事してくれない。
近くにいないんだ。
どおして?
「麗彪さんどこっ?」
どおしよ、麗彪さん、いなくなっちゃった・・・。
お部屋を出て、麗彪さんを探さなきゃ・・・!
「お嬢?起きちゃったんですか?」
「新名 さんっ、麗彪さんがいないのっ、どこっ?」
「あっ、泣かないでくださいお嬢、大丈夫です、雅彪 さんといますから。見に行きますか?」
「いくぅっ!」
よかった、新名さんが麗彪さんのいるとこ知ってるって。
新名さんと手をつないで、電気が点いてるお部屋に入る。
麗彪さんてば、ぱぱとお酒飲みながらお話ししてたんだ・・・。
「美月?どうした?」
「みっちゃん、起きちゃったのかい?」
「・・・ふぇ・・・なんでいないのぉ・・・っ」
麗彪さん見つけて、安心したら、勝手に涙がいっぱい出てきてとまらなくなっちゃった。
どおしよ、どおしたらいいの・・・。
「美月、ごめん、置いてって悪かった、泣くなって、ごめん・・・っ」
麗彪さんが抱っこしてくれて、頭撫でてくれる。
麗彪さんのにおい・・・麗彪さんだ・・・ちゃんといる・・・。
「みっちゃん、大丈夫かい?怖い夢でも見たかな・・・」
「たまに分離不安みたいになるんだ。最近は平気だったんだけどな」
麗彪さんにぎゅうーって抱き付いてたら、新名さんが小さい声で言った。
「・・・すみません、俺のせい、ですよね」
悲しそおな声。
どおして?
新名さんのせいじゃないよ?
麗彪さんがいなかったから・・・それで、ぼくが泣いたから・・・。
「・・・に・・・なさんの・・・せぇ・・・じゃ、ない・・・っ」
「お嬢・・・」
「そうだな、俺が美月に黙っていなくなったのが悪かった。親父なんかと飲むために。だから親父も悪いな」
「ごめんな、みっちゃん。パパも悪かった」
違うよ、麗彪さんもぱぱも、悪くないよ。
ぼくが悪いのに・・・。
「麗彪さんも、ぱぱも・・・悪く、ない・・・っ、ぼく・・・悪い・・・っ」
「美月が悪い事なんてない」
「みっちゃんはいつだって正しい」
「お嬢こそが真理です」
うう・・・みんな、ぼくの事かばってくれる・・・。
優しい・・・麗彪さんも、ぱぱも新名さんも・・・麗彪さんのとこ来てから会った人はみんな優しい・・・。
「みんな・・・やさし・・・大好きぃ・・・っ」
「ありがとうございますお嬢!」
「パパの事大好きかい?嬉しいなあ!」
「美月、一番大好きなのは俺だけだよな!?」
いっぱい泣いちゃったけど、みんな優しくて、いっぱい嬉しくていっぱい笑った。
ぼく、麗彪さんのとこ来て、いっぱい幸せだよ。
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