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恐くないよ

美月(みつき)side】 お仕事に行ってた新名(にいな)さんは、3日も帰って来なかった。 「新名さんっ!お帰りなさいっ!」 「お嬢・・・ただ今、戻りました」 なんだか、すごく疲れてるみたい。 お仕事、大変だったのかな。 「お疲れさま。お腹空いてる?お昼寝する?」 「いえ、大丈夫ですよ。お嬢に会えたから、もう元気です」 いつもの、にこおって顔になった。 ほんと? 元気になってくれたら、いいけど・・・。 「あっ、コンビニデート行く?」 「行きたいですっ!」 「麗彪(よしとら)さんは、新名さん帰って来たら行っていいって言ってたから、いっしょに行こ?」 リビングの方を見たら、麗彪さんが手を振ってくれた。 行っていいよって意味だ。 新名さんと手をつないで、玄関の方に行く。 「・・・お嬢」 「なあに?」 「手、繋いでくれて、ありがとうございます。嬉しいです」 「ぼくも、新名さんと手、つなぐの嬉しいよ!」 コンビニまで歩いてて、ちょっと思ったこと。 新名さん、なんだかいつもと違う感じする。 疲れてる・・・悲しい・・・困ってる・・・ちょっと、違う? 「新名さん」 「なんですか?」 「恐い?」 「・・・・・・え?」 新名さんのにこにこ笑顔が消えちゃった。 やっぱり、恐かったの? どおして? 「大丈夫だよ、新名さん。ぼくがいるよ。恐くないよ。大丈夫だよ・・・っ!」 新名さんをぎゅって抱きしめる。 麗彪さんにしたみたいに、背中をなでなでして、恐くないよって伝えた。 「・・・お嬢・・・本当に・・・大好きです・・・っ」 「うん、僕も新名さん大好き」 「・・・っ、ありがとう、ございます。もう大丈夫です。すみません、お嬢に嫌われるんじゃないかって、恐くて・・・」 「嫌いになんてなりませんっ!」 顔を上げて、新名さんの顔を見て言う。 新名さん、泣いてる・・・。 泣かないで、嫌いになんてならないよ? そんな事、恐がらないで。 「はいっ!ありがとうございますっ!」 泣き止んで、笑ってくれた新名さんと、また手をつないでコンビニに行った。 欲しいお菓子を全部選んで、期間限定の特製チーズ入り肉まんも2つ買って、新名さんといっしょに食べながら帰った。 「「ただいまあー!」」 「お帰り。上機嫌だな」 帰ったら麗彪さんが玄関で待っててくれて、新名さんと2人で、買ってきたお菓子を見せて・・・。 麗彪さんが、ちょっと、新名さんに優しくなったみたいだなって思った。 新名さんが「お嬢にぎゅってしてもらいましたっ!」って教えちゃったけど、麗彪さんは怒らなかった。 「・・・そうかよ。良かったな」 「はいっ!」 「ふふっ。麗彪さんにもぎゅってするねっ」 「ん」 リビングのソファに座ったまま、両手を広げた麗彪さん。 膝の上に乗って、ぎゅうーってして、キスしてまたぎゅってした。

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