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⭐︎番外編⭐︎時任の寝かし付け
【時任 side】
「美月 、寝るぞ」
「はぁい」
今夜の寝かし付け担当は俺だ。
麗彪 さんは片桐 と新名 を連れて、雅彪 さんから振られた案件を片付けに行っている。
「駿河 さん、おやすみなさい」
「おやすみなさ〜い」
駿河は徹夜担当。
持ち帰った仕事を片付けるつもりらしい。
「おい、コーヒー飲み過ぎるなよ。腹減ったらカップラーメンじゃなくて春雨スープを食え」
「は〜い」
この返事・・・こいつ、カップ焼きそば食う気だな。
隠しとくか。
「時任さん、なにしてるの?」
「夜食に向かない物を隠してる」
「そこ、駿河さんに見つかっちゃうよ。お部屋に持って行っちゃえば?」
「・・・天才か?」
カップ焼きそばを持ち、カップラーメンは美月に持たせて部屋へ。
俺は駿河と同室だ。
部屋の端と端に各々のベッドが置いてある。
駿河のベッドにカップ麺類を放り投げ、美月を自分のベッドに上げた。
「ねえねえ時任さん」
「ん?」
「まだ眠くない」
「いつも夜更かしし過ぎだ。大きくなれないぞ」
「えー、大きくなりたい」
「なら目を瞑れ」
仰向けで横になり、言われた通り素直に目を瞑った美月に布団をかけ、隣に横になる。
静かに呼吸しているが、寝てねえな。
口角が上がってきてる・・・。
「・・・んふふっ」
「なに笑ってんだ」
「眠くなくて、面白くなってきちゃった」
「なんでだよ」
布団の上から美月の腹辺りに手を置いて、寝ろ、と圧をかける。
物理的ではなく、精神的にだ。
「ねえねえ時任さん」
「ん?」
「子守歌って歌える?」
「歌えない」
「んふっ・・・ふへへっ」
まずい、笑いのスイッチが入ったな。
子守歌が歌えないってだけで、何が面白いんだ。
「ぼく、歌ってあげるぅ」
「おー」
「ねぇーんねぇーんー、ころぉー・・・ふふふっ」
自分で歌って自分で笑い出した。
困ったやつだな。
美月の背中の下に手を入れ、俺の方へ横向きにする。
そのまま背中をとんとんと軽く叩く。
「・・・ねぇ、時任さん」
「ん?」
「オカンって、おかあさんって意味なんだよね」
「・・・ああ」
オカアサンて単語、ウチでは禁止されてんだけどな。
「時任さんが、ぼくのおかあさんだったら良かった・・・」
「いいのか。毎晩9時に寝かすぞ」
「んふふっ、はやぁい」
俺は父親にはなれても、母親にはなれないんだが、たぶんそうゆう事じゃないんだろう。
俺が育ててたら、美月の希望通り片桐くらい大きくなってたかもしれないな。
・・・いや、さすがにそこまでは無理か。
「ほら、笑ってないで寝ろって」
「んー、もっかい歌う」
「やめろ、また自爆する気か」
22時半にベッドに入ったのに、結局寝たのは日付が変わる頃になった。
俺のオカンレベルも、まだまだだな。
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