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⭐︎番外編⭐︎カンナの寝かし付け

【カンナside】 遂にこの時がやって来たわ。 美月(みつき)ちゃんの寝かし付け当番。 麗彪(よしとら)くんがあたしもやっていいって言ってくれて、チャンスが訪れるのを心待ちにしてたのよ。 しかも、あたしの部屋に美月ちゃんがお泊まりに来る・・・! ・・・ついでに新名(にいな)も、隣の部屋から寝ずの番役で来てるんだけど。 「美月ちゃーん、そろそろ寝ましょ?」 「はぁい」 美月ちゃんは明らかにオーバーサイズの黒いスウェットを着ていて、麗彪くんのを着て来たんだろうなってわかる。 下はピンクで、こっちは美月ちゃんの服ね。 「お嬢、おやすみなさい。何かあったらすぐ呼んでくださいね。俺、すぐ助けに行きますから」 「新名さんは寝ないの?」 「俺はゴマフアザラシのDVD観るんで、まだ起きてます」 ・・・本気で観る気か。 まあ、きちんと番犬やってくれるなら何でもいいけど。 いや、番狐・・・番コンかしら。 寝室へ行き、寝る前に話しておかなきゃいけない事があるから、美月ちゃんはベッドに座ってもらった。 「あのね、美月ちゃん」 混乱しちゃうかな・・・恐がらないでくれるといいんだけど・・・。 「なあに?」 「環流(めぐる)って、覚えてる?」 「うん、カンナさんのお兄ちゃん」 そう、カンナ(あたし)のお兄ちゃん・・・って事にした、環流()についてだ。 「あれね、お兄ちゃんじゃないの」 「・・・え?」 今は寝る前だから、化粧もしてない。 だから、このウィッグを外せば・・・。 「俺、なんだ。・・・びっくり、しちゃったよね・・・?嘘ついて、ごめん・・・」 「・・・カンナさん・・・が、めぐるさん・・・?」 美月ちゃんの大きな瞳が、更に大きく見開かれてる。 こ、こぼれちゃう、どうしよ・・・。 「だから、おんなじ感じ、したんだ」 「・・・え?」 驚いてた顔が、ほっとした様な、ふわっとした笑顔になった。 ・・・可愛い。 「めぐるさんに会った時、カンナさんみたいな感じしたの。手、繋いだ時も、やっぱりカンナさんみたいって。お兄ちゃんだと、おんなじ感じになるのかなって思ったけど、めぐるさんがカンナさんだったんだね。すごいね、女の人と男の人、両方なれるんだね!」 「・・・もおっ、美月ちゃんには敵わないなあ」 そして可愛いっ! 思わずぎゅっと抱きしめてしまう。 「あっ、そぉだ、お姫様ごっこやろ?めぐるさんっ」 「うんっ、やろ!お化粧もして、麗彪さんびっくりさせちゃお!あ、俺と同じウィッグして、姉妹ごっこもしよ!」 わーいって盛り上がってたら、お邪魔狐がやって来た。 「ちょっと、盛り上がってないで、お嬢を寝かせてあげてくださいよ。お姫様ごっこも姉妹ごっこも、明日やりましょうね」 「「はぁーい」」 美月ちゃんとベッドに横になり、新名にバレない様に小声で明日の相談をする。 でも、どうしても盛り上がっちゃって。 結局、狐パトロールに3回目の注意を受けてから、俺たちはやっと眠りについた。

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