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⭐︎番外編⭐︎駿河の寝かし付け

駿河(するが)side】 やっと俺の当番の日が来た。 ・・・来たんだけど。 「美月(みつき)くん、眠くないの〜?」 「眠くな〜い」 昼寝させ過ぎたな・・・失敗した・・・。 時任(ときとう)に蜂蜜入りのホットミルクを作ってもらって飲ませたんだけど、美月くんは一向に眠くなる気配がない。 仕方ないので一緒にPSPでゲームしてるけど、俺の方が先に眠くなりそう・・・。 「駿河さん、眠い?」 「ん〜?大丈夫ですよ〜」 本当は昨日も徹夜で仕事をしていたから眠い。 だからと言って、美月くんが起きてるのに俺が寝る訳には・・・。 「時任さん、駿河さんと先に寝るね」 「ああ。おやすみ」 え、あれ、これまさか、俺が美月くんに寝かし付けられようとしてる? いやだめでしょ、美月くんを寝かし付ける当番なのに。 「駿河さん、歯磨きしよ?」 「・・・はぁい」 洗面所で美月くんと並んで歯磨き。 これで眠気が飛べば・・・と思ったけど・・・。 「くぁ・・・ぁふ」 欠伸(あくび)してる場合じゃない。 美月くんより先に寝たらだめだ・・・。 「・・・ふぁ・・・んむ。あくび、うつったぁ」 俺の欠伸が伝染(うつ)り、(まなじり)(こす)る美月くん。 少しは眠くなってきたかな? そう思って寝室に行ったんだけど・・・。 「はい、ここ、寝てくださいっ」 「・・・はぁい」 あれ、眠くなってないのかな? 美月くんが俺をベッドの真ん中に寝かせてその横に座り、布団をかけた上からとんとんしてくれる。 ・・・いや、寝ちゃう、これ、俺が先に寝ちゃう。 「美月くんも一緒に寝よう?」 「ぼく、まだ眠くない・・・」 「そうですか〜?」 それにしては、さっきより瞼が重そうに見える。 俺をとんとんしてくれながら、少しずつ瞼を下ろしていく美月くん。 上半身を起こし、座ったままの美月くんを抱き寄せて、一緒に横になった。 「今度は俺がとんとんしますね〜」 「んんー・・・まだぁ・・・」 なんでそんな頑なに寝る事を拒否するのかな。 俺と一緒に寝るの、嫌なのかな・・・。 「するがさん・・・ねてなぃから・・・ねかせるのぉ・・・」 ・・・それもしかして、俺が昨日徹夜してたの、知って・・・? 「美月くんが抱き枕になってくれれば、世界で一番幸せに眠れそうです」 「んー・・・ぼく、まくらぁ・・・?」 「そ〜ですよ〜。だから一緒に寝ましょうね〜」 「ぅんー・・・するがさん・・・おゃ・・・みぃ・・・・・・」 「おやすみなさい、美月くん」 俺たちが面倒見て、護ってるんだって思ってた。 でも、美月くんのこうゆうとこに、俺たちも守られてるし救われてる。 麗彪(よしとら)さんが一目惚れして大事にしようとしてたから、俺と時任も大事にしようと思ったけど、まさかここまで入れ込むとは。 ほんと、俺たちみたいなのが、こんな穏やかで幸せな気持ちで眠れる日が来るなんて・・・想像もしなかったな。

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