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うちの神様

美月(みつき)side】 ぼくと麗彪(よしとら)さんと時任(ときとう)さんの3人で、ぱぱのお(うち)に遊びに来た。 だけど、今日はぱぱが玄関にお迎えに来てくれない。 お家にいるって麗彪さん言ってたのに。 なんでだろ・・・具合悪いの? どこかな・・・ぱぱのお部屋にいるのかな・・・。 「ぱぱ?」 「ああ、みっちゃん、お帰り」 お部屋にいた。 あれ、でも・・・。 「ぱぱ、どおしたの?具合悪い?」 「ん?どこも悪くないよ。どうしてだい?」 どおしてって、だって、なんだか・・・。 「・・・恐い事、あった?だいじょぶ?」 「・・・はは。さすがだなあ」 ぱぱがイスから立って、ぼくの前までくる。 いつもなら、頭撫でてくれるのに、着物の袖に手を入れたままだ。 ねえ、どおしたの? 「ぱぱ・・・?」 「ごめんな、みっちゃん・・・パパは悪いやつだ」 ・・・え? ぱぱが悪いやつ? そんな・・・。 「そんな事ないっ!ぱぱは悪くなんてないっ!だっていつも優しくて、いっしょにいられるの嬉しいもんっ!ぜったい悪くないっ!大丈夫だから、ぱぱが怒られないよおに、ぼくが守るから・・・!」 ぱぱも、ぼくが守らなきゃ。 ぎゅってして、ぱぱが怒られないよおに、ぶたれないよおに・・・。 「みっちゃん・・・ああ、ありがとうな。みっちゃんが居てくれれば、パパはなんにも恐くないよ。初めて恐いと思ったが、みっちゃんのお陰でもう恐くない。いい子だなあ、みっちゃん・・・」 ぱぱが、ぼくをぎゅってしてくれて、いつもみたいに頭も撫でてくれた。 良かった、もう恐くない? 大丈夫? 「抱っこしていいか?」 「いいよ。ぱぱに抱っこしてもらうの、好きだよ」 「そうか・・・本当にみっちゃんは凄いなあ」 ぼく、すごい? なにが凄い? わからないけど、ぱぱが笑って、さっきより元気になったから良かった。 「ぱぱがもっと元気になるよおに、ぼくもっと凄くなるね!」 「それ以上凄くなったら、みっちゃんは神様になっちまうなあ」 「かみさま?」 ぼく、色んな勉強して、神様ってゆうのがいっぱいいるって習った。 クリスマスが誕生日のイエスキリストとか、怒ってかくれちゃったアマテラスオオミカミとか、ミイラを作るアヌビスとか、雷が使えるゼウスとか・・・。 色んなとこに色んな神様がいるんだって。 「じゃあ、ぱぱも神様?」 「俺はそんな殊勝なもんじゃねえよ。神様なんて信じちゃいねえが、みっちゃんが神様なら俺を含め榊家(うち)のもんは皆んな信者だな」 「しんじゃ?」 それから、ぱぱがぼくを抱っこしたままお家の中を歩き回って、みんなにぼくの事「うちの神様だ」って言ってまわった。 よくわかんなかったけど、ぱぱもみんなも楽しそうだったから、良かった。

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