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人生ゲーム

美月(みつき)side】 麗彪(よしとら)さんに抱っこされて、ホテルに帰って来た。 そのまま、ぼくはソファに座った麗彪さんの膝の上に座る。 めぐるさんが、買ってきてくれたたこ焼きをテーブルに広げて、飲み物も出してくれた。 ソースの匂いがする。 「美月、大丈夫か?たこ焼き食べるだろ?」 麗彪さんが、いつも通りの優しい声で言う。 そおだ、たこ焼き。 「・・・こわかった」 ・・・あれ、ぼく、恐かったんだっけ。 そっか、さっき会った人、つくも、あやさん。 どおして、あんなに恐かったんだろ。 「ああ、ごめんな。いきなり現れるとは思わなかったんだ。もう会わないようにするからな。ごめん」 麗彪さんは悪くないのに、どおして謝るの? 頭撫でてもらいながら、だんだんお腹すいてるの思い出してきた。 「・・・お腹すいた」 「ん。たこ焼き食おうな」 麗彪さんとめぐるさんと、3人でたこ焼きを食べる。 時任(ときとう)さんと新名(にいな)さんは、どこ? 「麗彪さん・・・」 「2人もすぐ戻ってくるから、心配すんな。たこ焼きどうだ?」 「おいしぃ・・・」 たこ焼き、いろんな種類のがある。 たまごのってる、てりたまのやつ、好き。 「戻りました。今の所、ホテル内にそれらしいのはいません」 「お嬢、たこ焼きどうですか?」 時任さんと新名さんも帰ってきた。 時任さんは、麗彪さんになにか報告してて、新名さんはいつもみたいににこーってしてる。 「てりたまの、美味しいよ」 「お嬢、たまご好きですもんね。そうだ、ちょっと遠出して明石焼き食べに行きます?きっとお嬢はたこ焼きより好きですよ!」 あかしやき? どんなのだろ。 「確かに好きそうだな・・・明日は動けねぇが、明後日行くか。あ・・・美月、鹿にエサやんのは帰る前の日になるけどいいか?」 「えっ?うん、いつでもいいよ」 鹿がいっぱいいる公園があって、ご飯あげられるって前に聞いた事あったんだけど、麗彪さんちゃんと覚えててくれたんだ。 ぼくだって忘れてたのに。 鹿さん公園、ここから近いのかな? 時任さんと新名さんもいっしょにたこ焼き食べて、麗彪さんがお仕事行くまでお部屋で遊ぶ事にした。 やるのは、キャリーケースに入ってた人生ゲーム。 「・・・置き配にした荷物がカラスの襲撃にあった、$5000払う。・・・カラスなんて絶滅すればいいのに」 新名さんがお金払いながらにこぉーって笑った。 絶滅なんて、カラスがかわいそおだよ? 「・・・仮想通貨で資産運用、ルーレットの数×$10000。・・・9だな」 時任さん、またお金いっぱいもらってる。 すごい・・・。 「・・・推しがデキ婚で卒業し酒に溺れる、1回休み。ええ!?美月ちゃんがデキ婚!?」 めぐるさんは1回休みになっちゃった。 できこんって、なに? あ、次はぼくの番。 「・・・子どもが生まれた、みんなから$2000ずつもらう、だって!やったぁ!」 「美月!?その子は俺との子だからな!!」 「やっぱりデキ婚!?俺の推しがぁっ!」 「お嬢が子どもを・・・俺がオムツ替えますから!」 「おめでとう美月。さっき儲かったから$20000やる」 「ありがと、時任さん」 みんなで遊んでたら、恐かったの忘れちゃった。 あかしやきも、鹿さん公園も、楽しみっ。

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