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あやちゃんツアー

美月(みつき)side】 鹿さん公園で遊んだあと、柿の葉寿司を食べてからまた車に乗って、京都に来た。 そしたら、麗彪(よしとら)さんが先に着いて待ってたんだけど・・・。 「美月ちゃぁん!俺の事覚えてるぅ?」 たこ焼き買いに行った時に会った、恐い人。 つくも、あやさんだ。 「・・・こ、こんにちは、あや、さん・・・」 「こんにちはぁ。(あや)ちゃん呼んでぇや。仲良ぉしよ?」 「美月に触んな。つか帰れ。勝手に付いて来てんじゃねぇよ」 麗彪さん、ちょっと怒ってる。 あやさん・・・じゃなくて、あやちゃんの事、嫌いなのかな。 でも・・・この前みたいな恐い感じ、しなくなってる・・・? 「ぁ・・・あやちゃん」 「なぁにぃ?美月ちゃぁん」 あやちゃん、ほんとはいい人・・・なのかな。 でも、あやちゃんがいる時、麗彪さん以外ぜんぜん喋らないの、なんでだろ。 もしかして、みんなもあやちゃんの事、恐いって思ったのかな。 「片桐(かたぎり)ぃ、そんな警戒せんでも美月ちゃん盗ったりせぇへんて。新名(にいな)もやめぇや、美月ちゃんに見られたくないんやろ?」 ぼくと手を繋いでくれてる片桐さんと新名さん。 見られたくないって、なにを? 新名さんの顔を見たら、一瞬笑ってないみたいだったけど、すぐいつものにこーって顔でぼくの事見てくれた。 「新名さん大丈夫だよ、あやちゃん恐くないよ。片桐さんも、恐がらなくて大丈夫だよ?」 「美月くん・・・」 「お嬢・・・」 「美月ちゃぁん、だいじょぶやで?みんな俺の事恐いなんて思てへんて。久しぶりに()うたから緊張してんねん。ほんまは仲良しなんや。なぁ?」 「「「「「・・・はい」」」」」 片桐さんと新名さん、駿河(するが)さん時任(ときとう)さんめぐるさんが、いっしょに返事した。 ・・・そっか、ほんとは仲良しなんだ。 良かった。 「んで、どこ行くぅ?」 「だからお前は帰れよ。美月に関わろうとすんな」 「ええやんかぁ!明日帰ってまうんやろぉ?美月ちゃんがこっちで楽しめとるか見ときたいんや。邪魔せぇへんから、な?」 あやちゃん、ぼくが楽しんでるか確認したいの? ・・・優しい! 「ありがと、あやちゃん」 「どぉいたしましてぇ!ほな行こ!綾ちゃんが案内したるわぁ!」 あやちゃんが、ぱってどこかから三角の旗を出した。 旗に「綾ちゃんツアー」って書いてある。 「わぁっ、その旗どおしたの?どこから出したの?」 「綾ちゃん魔法使えんねん。他にも出したる・・・」 「美月!綾なんかに懐くなっ!ほら、俺と手ぇ繋げ」 それから、綾ちゃんの案内でいろんなとこに行った。 金色のお寺見たり、赤い鳥居がいっぱいある神社行ったり、おやつにわらび餅や抹茶アイス食べたり、手品見せてくれたり・・・。 夜ご飯もいっしょに食べて、とっても楽しかった。 綾ちゃん、また遊べたらいいな。

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