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見送りとお土産
【美月 side】
今日はお家に帰る日。
みんなでお好み焼き食べてから、車で空港まで来た。
「美月ちゃぁん。見送りに来たでぇ」
「綾 ちゃん!」
空港に着いたら、綾ちゃんが待っててくれてた。
帰る前に、また会えて嬉しい!
「綾、お前何しに・・・」
「せやから美月ちゃんの見送り言 うたやん。安心しぃ、今んとこ盗 らんて。美月ちゃん、また来てなぁ。よっちゃん嫌になったらすぐ綾 ちゃんに電話しぃ?魔法で飛んで迎えに行ったるから」
「ああ"!?」
麗彪 さん、怒っちゃった。
大丈夫だよ、ぼくが麗彪さんの事、嫌になるわけないもん。
「綾ちゃん、ぼく麗彪さんの事、嫌になんてならないよ。それでも、電話していい?」
「ええよぉ!いつでも電話してきぃや。美月ちゃんからの電話やったら何してても最優先にするわぁ」
「おい、美月に構うな。それより電話ってなんだ?まさか美月のスマホにお前の番号登録しやがったのか!?」
「美月ちゃんにオトモダチが増えたんやから、そぉんなキレんといてぇ?ほんまよっちゃん心狭ぁ」
麗彪さんが、ぼくを抱き上げて、ぎゅってした。
これ「取っちゃだめ」ってやってるんだって、駿河 さんが言ってた。
綾ちゃんが、ぼくの事取るって、思ってるのかな。
「だいじょぶだよ、麗彪さん。ぼくは麗彪さんのものだから」
「・・・綾が美月の事盗ろうとしてんだ。美月からも言ってくれ、美月は俺のモノだって」
そおいえば昨日、麗彪さんが子供の時に、綾ちゃんにおもちゃ取られて泣いちゃったって、駿河さんが話してくれたな。
ぼく、おもちゃじゃない、けど・・・。
「綾ちゃん、ぼくね、麗彪さんのものだから、取らないでね?あと、また遊ぼおね」
「うん、わかったぁ。でも、恐い事あったり、逃げたい思たら、ほんまに電話しぃや。絶対助けたるからな」
綾ちゃんは、優しい人なんだ。
ぼくの事、心配してくれてるって、わかる。
「ありがと、綾ちゃん!」
それから、綾ちゃんといっしょにいた人が、時任 さんと片桐 さんと新名 さんに、大きな紙袋を2つずつ渡してた。
お土産だって。
綾ちゃんは「飛行機ん中で、おやつに食べや」って言って、ぼくにもお土産をくれた。
見えなくなるまで手を振って、綾ちゃんとばいばいして、飛行機に乗る。
また会いたいなぁ・・・。
麗彪さんは、綾ちゃんと仲良くするの、嫌みたいだけど。
でも、子供の頃からいっしょに遊んでたって言ってたし、ほんとは仲良しさんなのかも。
「なに貰ったんだ?」
「えっと・・・にゃんこミルクプリン」
ぷるぷるで、可愛い。
飛行機に乗ってる間に食べたけど、ぼくより先に麗彪さんがひと口食べちゃった。
麗彪さんは「毒味だ」って言ってたけど、にゃんこミルクプリンに毒なんて入ってないよ?
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