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ピエロとケガと仲良しさん
お仕事から帰ってきた綾 ちゃんが、ケガしてた。
両手に火傷しちゃって、包帯巻いてて、首も・・・。
恐い人にやられたって聞いて、おかあさんにやられたのかもしれないって、恐くなった。
でも、おかあさんはもおいないって、麗彪 さん言ったもん。
違う、おかあさんじゃない。
おかあさんは戻ってなんてこない。
そしたら、カンナさんがピエロの風船がぱーんてなったからだって言った。
そっか、綾ちゃんの恐い人は、ピエロなんだ。
絵本に描いてあったピエロは、恐くないけどなって思ったけど、おそいえばピエロも赤いくちべにしてたなって・・・。
「綾ちゃん、ぼくもピエロ恐いかも」
「そぉなん?美月ちゃんもピエロ恐いん?せやったら遊園地は行かん方がええわ。あいつ、おるもん」
「遊園地行ったよ?楽しかった!・・・けど、迷子になってケガした・・・」
ほんとに、楽しかったんだよ?
でも、鏡のおうちは、もお入らない、絶対。
「ええ!?美月ちゃん怪我したん?よっちゃんなにしとったん?痛かったやろ?可哀想に・・・」
「カンナさんが治してくれたよ。綾ちゃんのケガも、早く治るといいね」
「ありがとぉ。こんなんすぐ治るわぁ。心配せんといて?」
綾ちゃん、お部屋に入ってきた時は元気なさそおだったけど、にこにこに戻ったみたい。
良かった・・・。
「綾ちゃん、もお恐くないからね。大丈夫だよ」
「美月ちゃん・・・」
綾ちゃんにも、ぎゅってしてあげたくなったんだけど、ぼくと綾ちゃんの間にばって手が割り込んできた。
麗彪さんだ。
「美月、それ以上綾を甘やかすな。俺にしとけ」
麗彪さんがぼくをひょいって抱っこして、ぼくが座ってたソファに座って、ぼくは麗彪さんの膝の上に。
後ろからぎゅーって、してくれる。
あ、これ「取っちゃだめ」の時のやつだ。
「ふふっ。麗彪さん、ぼくは麗彪さんのだからだいじょぶだよ」
「わかってるけど綾にばっか構ってんじゃねぇか。俺にも構え」
「よっちゃん心狭ぁ・・・」
それから、ぼくと麗彪さん、新名さんとカンナさんと綾ちゃんで遊んだ。
綾ちゃんは手をケガしてるから、手を使わなくていいよおにぼくがお手伝いしよおとしたけど、麗彪さんがやってあげてた。
やっぱり、麗彪さんと綾ちゃんは子供の頃から遊んでて、仲良しさんなんだ。
子供の時の麗彪さんって、どんなだったんだろ。
ちっちゃくても、かっこよかったのかな。
可愛かったのかな。
・・・子供の麗彪さんにも、会いたかったな。
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